【番外編】元任天堂のメンバーが作ったフィギュアコミュニティー「fg」ひとりで作るネットサービス(1/4 ページ)

任天堂出身メンバーが独立して作り上げたのは、フィギュア写真を投稿するコミュニティーサイト。公開からわずか1カ月で4000人以上の会員を集めるに至った、コンセプトと苦労の道筋とは――。

» 2008年12月24日 12時57分 公開
[田口元,ITmedia]

 ひとりで作るネットサービス第36回番外編は、フィギュア写真のコミュニティーサイト「fg-site(エフジー)」を作り上げた、ゲーム会社出身の3人組をとりあげる。正式公開から1カ月もたたないうちに4000人以上の会員を獲得し、写真1万8000枚以上が投稿されたという人気サイトを立ち上げることができた秘けつは何だっただろうか。

 「ゲーム作りでは、敷いたレールの上を、そうと気づかせずにユーザーにたどってもらえるかが重要です。楽しい仕事ですが、やはり想定外の出来事が起こるわけではありません。そう考えるともっと何が起こるか分からない、ネット上のサービスを作りたかったのです」。fg-siteを立ち上げた一人、岡本基さん(おかもと・もとい、33歳)はそう話す。

 fg-siteを立ち上げたのは任天堂などで働いていていた3人組。ディレクションを担当する岡本さんと、実際の開発を担当する亀田純也さん(かめだ・じゅんや、35歳)、松岡貴之さん(まつおか・たかゆき、34歳)だ。今回は岡本さんと亀田さんに話を聞いた。

「せっかく起業したからには自分たちでクリエイティブなことを」

 岡本さんと松岡さんが「何かやりたい」と起業したのは2008年の春。その後亀田さんも参加した。起業にあたっては、まず食べていくためにゲームの受託開発から始めた。仕事にはありつけてはいるが、「せっかく起業したからには何か自分たちでクリエイティブなことをしなくては」と日々考え続ける毎日だった。

 「このままじゃだめだ。ブレストしよう」。ある日、3人はファミレスに集い、自社サービスに関してアイデアを出し合うことにした。ああでもない、こうでもない――という議論が始まった。最大のネックは受託業務とのバランス。「受託業務を長い間ストップさせることはできません。したがって研究開発に長期間かかるような、壮大なアイデアは除外せざるを得なかったのです」

 岡本さんと松岡さんは、もともと3D技術の研究をしていたので、Flashを使って3Dで何かのサービスをしたいと考えていた。しかしそれでは開発に時間がかかりすぎる。そこで、ネット上にすでに大量に存在している写真や画像ファイルを使って何かができないかと検討してみた。しかしイラスト投稿サイトや画像をかっこよく見せるサイトはすでに多数存在している。

 「ジェネレータぐらいの軽いものから始めようか」「4コマの投稿サイトなどはどうだろう」――。その後もさまざまなアイデアが出はしたが、誰もがいまひとつという顔をしていた。時間だけは刻々と過ぎていく。ブレスト開始から12時間が過ぎようとしていた。「さすがにファミレス側にも迷惑だと思ったので、そこでデザートを頼むことにしました(笑)」

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