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» 2011年07月13日 11時00分 UPDATE

手帳2012:「ASHFORD」2012年モデルの新作は“原点回帰”

システム手帳ブランドの「ASHFORD」。2012年版のコンセプトは“原点回帰”だという。システム手帳業界の動向やASHFORDの新製品を聞いた。

[舘神龍彦,Business Media 誠]
st_afc01.jpg 原点回帰をコンセプトとした「LUGARD」。バイブルサイズで25ミリのリング径。分厚さを強調したプロポーションはシステム手帳らしさにあふれている

 システム手帳ブランド「ASHFORD」の手帳を販売するシーズンゲーム。2012年版のコンセプトは“原点回帰”。製品ジャンルとしてのシステム手帳は、今どうなっているのか。その中で同社の新製品はどんな経緯で出てきたのかを、同社営業部の向井善昭氏に聞いた。


古典的スタイルに込められた新しい工夫

st_afc02.jpg バイブルサイズでは25ミリリングの内側にもペンを装着できる
st_afc03.jpg LUGARDのバイブルサイズ、A5の製品
st_afc04.jpg LUGARDのミニ5タイプ

 システム手帳ブーム当時からの伝統を誇るASHFORDブランド。その代表である「LUGARD」シリーズは、バイブルサイズ、A5、ミニ5穴の3サイズで展開する。なかでもバイブルサイズは、リフィルをホールドするリングの径が25ミリ。物理的な厚みが革の持つ重厚感と相まってずしりと伝わってくる。ただ、最近のシステム手帳の売れ筋は15ミリや11ミリであり、分厚い感じは否めない。

 同社営業部の向井善昭氏によれば、これこそ原点回帰だという。「システム手帳が日本に登場したときのスタイルが、ちょうどこのサイズです」。時代に逆行するかのような選択には、システム手帳がフル活用できるスタイルを想定している。「1冊の中に、ダイアリーやメモ、名刺入れやクリアファイルなどをすべて納められる使い方はシステム手帳だけのものですよね。ビジネスに必要なスケジュール記録やメモ、情報が一元管理できるオーガナイザーとして使ってほしいんです」

 プロポーションはシステム手帳らしさにあふれた堂々たるものだが、新しい趣向も凝らした。例えばペンホルダーは、右肩のもの以外に、リング内にも増設された。「外側から見えるペンは万年筆を想定しています。ある程度直径が太いものにお気に入りのインクを入れてあるイメージですね。そして手帳を使う人なら、マーカーやマルチペンなども利用頻度が高い。そういうプラスチックボディのペンを見えないようにうまく収納するために作りました」。高級感のある革に樹脂のペンはあまり似合わない。そして内側のペンホルダーならば無理なく併用できるわけだ。

 革にもこだわっている。ショルダーと呼ばれる牛の肩の部分で、1頭からわずかしかとれない。この部分は背中や腰とは違い、首の動きがあるために、“トラ”と呼ばれる模様ができる。それが革の“表情”を生み、合成皮革にはない、革製品ならではの風格を醸し出している。

 高級な革を使ったバインダーは開きにくい印象があるが、LUGARDはその点も工夫をした。合わせた2枚の革は、内側が外側よりも幅がやや短くなっている。またリングの台座に当たる部分の革は、なめす行程でうすく加工してあり、無理なく大きく開くようになっている。これらはすべて日本のトップレベルの職人によるものだという。

小技のきいた商品でシステム手帳に新風を

 向井氏によれば、今はシステム手帳自体が難しい立ち位置にいるという。「手帳メーカーはもちろん、雑貨メーカー、ファッションメーカーも自社ブランドのものを発売しています。でも、面白いものは少数。みな、どこかで見たようなスタイルで、“これは革だから高いんです”という売り方です。商品自体の魅力が忘れられているのではないでしょうか」

 ブームから数十年が経過し、バインダーもリフィルも目新しさはなくなっている。ともすると“古い”と思われ、また新しい魅力を持った商品も少ない。「そういう状況の中で、我々はその中でもがいてもがいて、ピリリと小技が効いたものを作ろうという自負があります」

 向井氏はシステム手帳や革小物という同社のラインアップの中に、新しい工夫を盛り込もうと努力しているという。「インドや中国などで作られる革製品には、コストでは太刀打ちできません。そしてヨーロッパや日本の市場は感度が高いです。だからそういった市場に向けて作り方や見せ方に工夫した革を使うことで、製品としての魅力を持たせるようにしています」

 そのための取り組みの1つが、革の選び方だ。香港やイタリアでは、メーカー向けに革の展示会を開く。そこでは、タンナーと呼ばれる革なめしの職人が表面をきれいに加工した革を多数展示しているのだ。向井氏はそこに足を運んで、革をセレクトして買い付け、職人に指示し相談しながら製品企画を進めていく。

 もともとASHFORDブランドのバインダーは、ビジネステイストが強い黒や茶以外のカラーが多い。今年の新作には、個性的なラインがそろっている。イタリア産の革を用い幾何学的な模様をほどこした「TIP」や、表面に無数に開けられた穴の中に箔押しをほどこした「PUNCHING LEATHER」などのシリーズがそれだ。オーソドックスなLUGARDを主力としつつ、他のシリーズでピリリとした小技を見せているわけである。


st_afc05.jpgst_afc06.jpg 新作の「TIP」と「PUNCHING LEATHER」。PUNCHING LEATHERには、小さく開いた穴の内側に箔押しと呼ぶ光沢加工を施した。このため、角度によって表面の色が変化する

st_afc07.jpgst_afc08.jpg ディスプレイのために作られた試作品のビジネスバッグとビジネスシューズ。売上が大きく変わるので、営業マンは販売店へディスプレイ方法までアドバイスするという。右は名刺入れ

 向井氏は言う。「ビジネス用のカバンや靴にはこだわる方が少なくありません。でも手帳は手に取ることが多いわりには、こだわる人が少ない。いい仕事のためには、手帳もいいもの、すてきなものを使ってほしいんです」。その言葉にはシステム手帳黎明期からずっと製品を作ってきたメーカーならではの自負を感じた。

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