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» 2013年06月06日 13時47分 UPDATE

仕事耕具:ノートの文字と録音データがリンク、Evernoteに自動保存も――「Livescribe wifi スマートペン」を使ってみた

ノートに書いた文字の上をタップすると、その文字を書いた時間の録音データがペンのスピーカーから再生される――。こんな便利な機能を備えたデジタルペンが登場した。使い勝手はどうなのか、仕事のどんなシーンで役立つのかをチェックした。

[舘神龍彦,Business Media 誠]
Photo wifiスマートペン本体と専用ノート(50ページ)。手書きのノートと音声を同時に記録できる

 手書きのノートとICレコーダーで議事録を作成する際、「録音データの聞き直したい部分を探すのが面倒」と思ったことはないだろうか。また、打ち合わせ時にノートに残せなかった内容を思い出そうとして苦労したことはないだろうか――。今回紹介する「Livescribe wifi スマートペン」(以下、wifiスマートペン)は、こんな悩みを解決してくれる便利なガジェットだ。

 見た目はちょっと太めのペンとノートだが、その機能は面白い。このノートに書いた文字の上をタップすると、その文字を書いた時間の録音データがペンのスピーカーから再生される。ペンには録音機能が用意され、録音データと紙に書いた文字をひも付けられるのだ。

ノートにプリントされた操作ボタンで音声を録音

 ペン本体には電源ボタンしかなく、各種の操作には付属のノートにプリントされた操作パネル(の各種アイコン)をタップするのがwifiスマートペンの作法だ。具体的にはペン先でノートの操作ボタンをタップして操作を行う。操作パネルには、ペン本体のバッテリー残量の確認や言語、明るさ、音量の設定、クラウド同期などに使うボタンが用意されている。

 ノートの各見開きには、録音関連のボタン(録音、ポーズ、停止、10秒ごとにジャンプetc)やボリュームなどのボタンがプリントされており、こちらもペン先でタップして操作できる。なおパッケージには、スターターノートとして50ページのツインリングノートが付属。ノート部分には切り取り用のミシン目が入っている。

sa_pen02.jpgPhoto 表紙の裏にプリントされている操作パネル(画面=左)。記述用ページの下には録音用のボタンがある(画面=右)

 ノートがなくなったら、LivescribeのWebサイトから(外部リンクに移動)ドットパターンを含むPDFファイルをダウンロードすれば、プリントして利用できる。ペン側のリフィル交換は難しそうだが(例えば4C規格のリフィルとは互換性がなかった)、好みの紙にプリントして、バインダー式ノートなどで使えるだろう。

 なお、最初に使う際には、専用のWebページからアクティベートという作業をする必要があるが、操作は簡単だ。wifiスマートペンのWebページにアクセスし、メールアドレスとパスワードを設定。EvernoteのIDとパスワードを入力して、ペン本体のディスプレイに表示された8ケタの英数字を入力する。その後、操作シートを使ってWi-Fi設定をすれば完了だ。

Photo 使い始める際には、Webページからアクティベートする必要がある
Photo 紙のシートでできた操作アイコンをペンでタップしてWi-Fiの設定を行う

 録音はとても簡単。ノートのレコードボタンをペン先でタップすると録音が始まり、あとはノートをとるだけ。ノートに書き終わったら停止ボタンを押せばいい。録音データの再生は、ペンで書いた文字をタップすることで行え、ペンの内蔵スピーカーから再生される。

 ノートに書いた文字と録音データはひも付けられており、例えばこのペンで議事録をとった場合、ノートに記録したさまざまな議題の中から「1.本日の議題」と書いた部分をペンでタップすると、それを書いたときの会議の音声を再生できる。

Photo wifiスマートペンの利用フロー。ノートの「record」ボタンをペンでタップしてノートに文字を書き始め、書き終わったら「stop」ボタンを押す。あとはノートの内容を見て、音声データを聞き返したいと思う箇所をペンでタップするするとペンのスピーカーから音声が流れる

 録音データとノートの手書きデータは、停止ボタンを押すと同時に、Wi-Fi経由でEvernoteに自動で保存される。保存フォーマットは「Pencast」(ペンキャスト)という独自形式。Evernoteから呼び出すと、紙のノートと同じように、任意の文字の上をクリックすることで、その時間の録音データを呼び出せる。

Photo 録音を停止すると、手書きデータと音声データがEvernoteに自動でアップロードされる
Photo Evernoteに保存されたPencast方式のデータ。文字の任意の部分をタップすると、そのときに録音された音声データが再生される

打ち合わせや商談に威力を発揮

 wifiスマートペンが威力を発揮するのは、打ち合わせや商談、取材、学習などだろう。これらの場面でノートを取る場合、wifiスマートペンなら書くと同時に音声を記録できる。見た目は普通のペンとノートなので、さりげなく使えるのもポイントだ。

 講演会や商品説明会の会場でwifiスマートペンと専用ノートを使えば、日報作成のためにあとからノートを見直したときに不明な点があれば、その部分の文字をペンでタップするだけで書いた時点の音声が再生される。学校で講義のノートを取るときなどにも便利に使えそうだ。

 気をつけたいのはバッテリーの持ち時間。1回のフル充電で、Wi-Fiに接続した状態で4時間、接続していない状態では11時間利用できるが、長時間の利用が多い人や、毎日使う人は、こまめに充電した方がよさそうだ。

Photo 充電は、付属のマイクロUSBケーブルを使ってPCと接続して行う

wifi スマートペンはアノトペンの進化系

 手書きの軌跡をデジタル化してPCなどに保存できるデジタルペン。専用ノートを使うタイプや専用の受信機を併用するタイプがあり、wifiスマートペンは前者にあたる。専用ノートには細かいドットパターンがプリントされ、ペンの先端に搭載された超小型カメラが書いた線をトレースして軌跡データを生成し、デジタルデータ化する。

 これはスウェーデンのアノトの技術。アノトが開発したアノトペンは、数年前に日本に上陸しており、主に法人や学校向けに提供されている。wifiスマートペンは、“帰ってきたアノトペン”ともいえる製品。元祖アノトペンはBluetooth対応だったが、wifiスマートペンはその名の通りWi-Fi通信に対応。新たに録音機能を搭載し、ペンの軌跡データと録音データをEvernoteにアップロードできるようになった。コマンドシートにはDropboxやFecebookのアイコンもプリントされおり、今後の対応が待たれる。


作詞作曲にも威力を発揮

 このwifiスマートペンが役立つのは、作詞作曲をするときではないだろうか。

 個人的な話で恐縮だが、「手帳音頭」の作詞作曲には結構時間がかかった。なぜかというと、メロディの記録と歌詞の発想を同時にうまくできなかったからだ。作詞作曲は「歌いながら歌詞をつくる」という作業の繰り返し。当時は、歌ったフレーズに歌詞を紐付けて記録する手段を持ち合わせていなかったため、困難を極めたのだ。

 wifiスマートペンがあれば、このプロセスはかなり簡略化されたのではないかと思う。wifiスマートペンで歌詞を書きながらメロディを歌えば、歌詞とメロディを同時に記録できるからだ。

 同じメロディに対していくつか出てきた歌詞のアイデアも、ノート上のその歌詞をペンでタップすればメロディが再生されるので、簡単に比較検討ができる。

 また、クラウド型情報記録サービスのEvernoteに対応したのもありがたい。これまで手帳音頭のメロディ部分を楽譜に起こすのは友人の手を借りていた。まず歌った音声を友人Aにデータとして録音してもらい、それを別の友人Bに送って採譜してもらう。さらに、編曲も別の人にお願いしており、これも音声データと楽譜をもとに作ってもらった。

 こうした作業もwifiスマートペンとEvernoteを活用すれば、ファイル共有するだけで、編曲担当者にもすぐにデータが届く。またノート上で細かな指示を入れておくこともできる。

 もちろん、ノートとペンの組み合わせだけでも、十分に使える。Wi-Fi環境に入った時点で同期されるから、使う場所は事実上選ばないといっていいだろう。

 私もwifiスマートペンを使って、手帳音頭に続く2曲目「コア・コンピタンス」を作詞作曲して完成させたい。


著者紹介:舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

st_tategami01.jpg

 手帳評論家・デジアナリスト。最新刊『使える!手帳術』(日本経済新聞出版社)が好評発売中。『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)は台湾での翻訳出版が決定している。その他の主な著書に『手帳進化論』(PHP研究所)『くらべて選ぶ手帳の図鑑』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『システム手帳の極意』(技術評論社)『パソコンでムダに忙しくならない50の方法』(岩波書店)などがある。誠Biz.IDの連載記事「手帳201x」「文具書評」の一部を再編集した電子書籍「文具を読む・文具本を読む 老舗ブランド編」を発売


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