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» 2013年07月05日 11時00分 UPDATE

「能率手帳」から「NOLTY」へ:基本を見直し原点に返る――NOLTYブランドの手帳はどこが変わったのか

「能率手帳」から「NOLTY」へのブランドチェンジで手帳ファンを驚かせたJMAM。新商品展示会には新ブランドの見本が展示され、商品の改変点などが明らかになった。

[舘神龍彦,Business Media 誠]
Photo 会場の様子

 「能率手帳」から「NOLTY」へのブランドチェンジで手帳ユーザーを驚かせたJMAM(日本能率協会マネジメントセンター)だが、新ブランドの手帳はどう変わったのだろうか。新商品展示会でチェックした。

 今回の改変点は「表紙のデザイン」「予定記入欄の仕様」「予定記入欄開始日」の3点。この3点とも、「能率手帳」らしさをポイントに、仕様を統一することを狙いとしている。また、製品のメッセージを分かりやすく伝えることに注力している印象も受ける。

 外観の変化で目につくのは表紙のシンプルさだ。従来は、製品によっては表紙にシリーズ名が併記されていたが、NOLTYでは西暦の数字のみになった。

 予定記入欄に目を移すと、週間予定欄の上部に罫線が追加されたのが分かる。JMAMでは、ユーザーがここに週の目標や大きな予定を書くことを想定しているという。ただし、ここに“目標”と大きく入れてしまうと、かえって使いにくくなることから、罫線のみにとどめたとJMAM NPB事業本部 NOLTY企画部長の二宮昌愛氏は説明する。

sa_nol03.jpgPhoto 週の目標欄も改良された。従来は何もなかったが(2013年版 画面=左)、週の上部に罫線が設け(2014年版 画面=右)、記入スペースとして活用することを明確にしている

 また、すべての商品に、12月1日からの予定記入欄が用意された。従来は製品によっては12月第2週からだったり、12月第1週だったりとばらばらだったが、それを統一。実はこれは、手帳の日(12月1日)と関係があり、この日を手帳の切り替え時期と決めて翌年の手帳を使い始めてほしいということだ。

 3つの改変点のうち、最初の2つは同社の代表的な商品「能率手帳普及版」がずっと体現してきたものだ。まず、表紙が年号の数字だけなのは能率手帳の変わらぬスタイル。また週の予定記入欄の上にさりげなく罫線があるのは、かつて能率手帳普及版が、日曜始まりから月曜始まりになって以来、採用されてきたものだ。

sa_nol04.jpgPhoto 新商品の「B6 Casual」。新色のターコイズブルーとオレンジ(画面=左)。能率手帳普及版は、「NOLTY 能率手帳」という名称で販売される(画面=右)

Photo NOLTY全商品133種。この日はサンプルのみの展示だった

NOLTY用紙は“官能試験”のたまもの

 NOLTYブランド製品の投入に合わせて、JMAMでは新たにNOLTY用紙と呼ばれる手帳用紙を開発した。NOLTY用紙の開発にあたっては、社内で官能試験を実施したという。

 裏抜けのなさや、裏移りのなさ、なめらかさなどといった紙のスペックは、そのほとんどが計測や数値化が可能だという。官能試験は、数値化が難しい書き味を評価をするのが目的だ。

 テストは、社内の20〜50代の社員が3種の用紙の書き味を評価する形で行われた。紙は1つ目が能率手帳用紙(クリーム色)、2つ目が能率手帳用紙(ホワイト色)、3つ目が能率手帳用紙クリーム(大判用)※。3つ目は、A5サイズ以上の能率手帳に利用されてきたタイプで、大判サイズへの記入用ということで、ページの腰の強さを重視して開発されている。

※いずれも通称。正式名称ではない

 テストでは3つ目の大判用の評価が高く、NOLTY用紙はこれをベースに、より紙を薄くしたものだという。2014年版では一部の手帳にしか採用されていないが、徐々に増やしていく予定としている。

 このほか、アドレス帳を極力整理して方眼のメモページにしたり(能率手帳普及版では従来通り別冊アドレス帳が付属する)、分かりづらかった製品名をより分かりやすくするといった形での刷新が図られている。

PAGEM新商品「CANTA CARTA」は和魂洋才

Photo CANTA CARTAシリーズのディスプレイ。カラフルでスタイリッシュな表紙が特長

 この日はまた、女性向けブランド「PAGEM」の新商品「CANTA CARTA」も展示されていた。

 CANTA CARTAは、イタリアの手帳メーカー「Lediberg」とのコラボレーションによる手帳。年間カレンダー、国際祝日一覧、月間カレンダーに、ドット方眼のメモページを組み合わせたページ構成になっており、紙は、イタリアの老舗製紙メーカー、Fedrigoniのものを採用している。

 CANTA CARTAの特長は、和魂洋才なデザインの成り立ちと、JMAM初のデジタル対応だ。

 20種類が用意される表紙デザインは、すべてLediberg製。PAGEMのCANTA CARTA担当の潮村氏によれば、テーマごとに何案かをLedibergから出してもらい、その中から決めているという。

 スケジュール欄は日本でデザインされている。曜日表記こそ英語だが、国民の祝日はすべて日本語で記されており、日本人が普通に利用するのに不都合はない。海外でデザインされたカバーに、日本で利用しやすい予定記入欄を組み合わせた、まさに和魂洋才と言える仕上がりだ。

 また、121ページにわたるドット方眼のメモページは、スマートフォン対応になっている。専用アプリ「CANTACARTA スキャンワーク」(iPhone、Android対応)は、トリミング処理、水平垂直のゆがみ補正、画質調整などの機能を装備。手帳のページをPDFファイルに変換してEvernoteやDropboxなどの各種クラウドサービスにアップロードすることができる。

Photo 同社の過去の製品も展示されていた。これは80年代の手帳関連商品。シールやマグネットしおりなど、今でもよく見かけるアクセサリーが、当時すでにあったことが分かる

今後のJMAMの方向性が垣間見える商品群

 今回の製品発表から見えるのは、JMAMの今後の製品展開の方向性だ。

 例えばNOLTYのラインナップは、シリーズ全体をより分かりやすく整理すると同時に、予定記入欄の細部にちょっとした機能を持たせようとしているのが分かる。おそらくこの流れは、アドレス帳に取って代わった方眼メモページをどう扱うかということにも関わってくるだろう。あくまで私見だが、これは手帳が単に予定管理ツールにとどまらず、ライフログや目標管理にも使われるようになったことを反映した対応とも考えられる。そのために単なる罫線ではなく、より応用が利く方眼を採用したのではないだろうか。

 CANTA CARTAシリーズの登場は、ここ数年のトレンドとなっている輸入文具や、そのテイストを取り入れた国産ブランド文具、さらには海外メーカーとのコラボによる国産メーカー扱いの海外ブランド商品群に対するJMAMからの回答といえるかもしれない。海外ブランド製品や、そのローカライズ製品は、市場に占める割合が高くなっており、JMAMはこの新シリーズで対抗するものとみられる。

 さらに、CANTA CARTAシリーズで採用されているデジタル化アプリは、いずれNOLTYにも採用されるだろうことは想像に難くない。CANTA CARTAは、先行実験的な側面も持っているのだろう。

 NOLTY、CANTA CARTAとも店頭に並ぶのは10月から。市場の反応が今から楽しみだ。

著者紹介:舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)

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 手帳評論家・デジアナリスト。最新刊『使える!手帳術』(日本経済新聞出版社)が好評発売中。『手帳カスタマイズ術』(ダイヤモンド社)は台湾での翻訳出版が決定している。その他の主な著書に『手帳進化論』(PHP研究所)『くらべて選ぶ手帳の図鑑』(えい出版社)『システム手帳新入門!』(岩波書店)『システム手帳の極意』(技術評論社)『パソコンでムダに忙しくならない50の方法』(岩波書店)などがある。誠Biz.IDの連載記事「手帳201x」「文具書評」の一部を再編集した電子書籍「文具を読む・文具本を読む 老舗ブランド編」を発売


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