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» 2013年11月15日 14時36分 UPDATE

新人研修にも反転学習を:新入社員の即戦力化に時間がかかるワケ――スマホ世代に有効な教育とは? (1/2)

平成生まれの若手社員に「打たれ弱い」「ハングリー精神がない」「競争心が薄い」。そう思ったら企業側はまず彼らを理解し、効果的な教育環境を整える必要がある。

[上口翔子,Business Media 誠]

 「最近の子は本当に打たれ弱くて、ハングリー精神がない。何と言うかこぢんまりとしていて、競争心がないんだよね。出世志向を持った人も少ない」――。もしそう思う企業の人事担当者がいたら、ぜひ彼らが育ってきた教育環境を理解し、企業側で基礎教育を補完するための努力をする必要がある。

 今の世代は数年前であれば知っている、もしくは自分で勉強して当たり前だった社会人の基礎マナーを知らない人が多く、かつ自分が知らないことすらも自覚をしていない人もいる。例えば「なぜ時間が大切なのか」「自分の給料を生み出すためにはいくら稼がなければいけないのか」といった社会人としての基礎知識だ。

shk_tomatu00.jpg トーマツイノベーションの事業開発部長、濱野智成氏

 なぜ企業側でそのような基礎教育まで行わなければいけないのか? それは、平成生まれの学生が受けてきたゆとり教育や学校、家庭環境が大きく関係していると、トーマツイノベーションの事業開発部長、濱野智成氏は指摘する。トーマツイノベーションでは7000社を超える企業の人材教育支援をしており、企業が抱える人材教育課題の1つに「新入社員の即戦力化」を挙げている。せっかく採用した貴重な人材をなるべく早く即戦力化し、企業や組織の成長へつなげるには具体的にどのような研修を行えばいいのか。内定者時代から行っておくべきこととは? 

 11月13日にトーマツイノベーションが実施したセミナー「新時代の内定者・新入社員教育とは?」の内容と濱野氏へのインタビューを基に2014年卒の新入社員を即戦力化するためのヒントを紹介する。

なぜ新入社員が即戦力化しないのか?

 現在、新入社員を取り巻く課題には以下図のような項目が挙げられる。ゆとり教育、さらには核家族化で祖父母と話す機会が少ない、勉強も大学に行くことが目的のインプット型になってしまっているなど、学校や家庭の教育環境が課題となっている。結果、従来の新人教育では若手は育たず、基礎教育がないまま埋もれる人材が増えてしまうのだという。

shk_tomatu01.jpg 新入社員を取り囲む教育環境の課題

 この課題に対し濱野氏は、「新人が育たない原因は企業側に問題があるわけではない」としたうえで、「基礎教育の補てんを企業側がやらなければならない時代になっている」と話す。

 例えば現場では次のような悪循環が起きているという。部署で飲み会を開いた際、ずっと座っている新人がいて、しかも上座や下座すらも理解していない。それに対し年配社員が指摘をすると「知らなかった」という。年配社員はあまりの知識のなさに驚き、チームの人間関係が悪化していくというのだ。

 この例を聞いて「だからゆとり世代は……」と思う人はおそらく自身が新入社員だったころは自ら勉強をして覚えていくのが普通だったのだろう。しかし今の世代は、学ぶべきことが分かれば勉強するが、そもそも何を知ればいいのか分からない人が多い実態がある。

 「多くの企業で起きているのが教育側は『そんなことまで教えたくない』、教えられる側は『分からないので、教えてください』というギャップ。この溝が埋められずに、結果、5月病などですぐに辞めてしまう新人が出てくる」(濱野氏)

shk_tomatu02.jpg 内定者・新入社員に対する企業教育の実態

新人教育にも反転学習を取り入れる

 ではこの課題を解決するためにはどのようなことを行えばいいのか。濱野氏は(1)内定者期間を有効活用する、(2)従来の新人研修の在り方を変換させる、(3)受け入れ側の教育を充実する、の3点を挙げた。特に(1)と(2)については今すぐに取り掛かるべき事柄だ。

 具体的には、スマートフォンを活用した反転学習型の実践トレーニング研修を内定者時代から取り入れること。反転学習とは、講義前にIT技術を使って知識をインプットしておき、実際の講義ではディスカッションなどアプトプットのみを行うスタイルの学習法だ。米国などでは実際に取り入れている学校が多く、日本でも2013年10月にはNTTドコモと東京大学が反転学習の共同研究を開始したと発表、2013年11月には佐賀県武雄市の小学校が反転型学習授業を開始している。

 「反転学習はモバイルとの親和性が高い。今の内定者は90%以上はスマートフォンを持っている。そんな彼らに社会人としてのホウレンソウや名刺交換の作法、電話対応の方法などをゲーム感覚で学べるスマートフォンアプリを使ってもらうことで、入社時には既に社会人としての基礎知識を持った人材の育てることができる。即戦力になる可能性を飛躍的に上げられるのだ」(濱野氏)

shk_tomatu03.jpg 新時代の内定者・新入社員教育
shk_tomatu04.jpg 従来の内定者・新入社員教育との違い

 アプリを使うことで、内定者は入社前に社会人として必要な「知識」「意識」「スキル」が身に着くという。

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