インタビュー
» 2013年12月26日 12時30分 UPDATE

企業家に聞く:夏野剛氏:夏野剛氏が語る教育の未来――モンテッソーリ教育から英語必修化まで (1/2)

ニコニコ動画を展開するドワンゴなどで取締役を務める傍ら、慶應義塾大学で招聘(しょうへい)教授として教壇に立つ夏野剛氏。2人の子どもの父親でもある同氏に日本の教育問題を中心に話を聞いた。

[まつもとあつし,Business Media 誠]

 ニコニコ動画を展開するドワンゴなどの取締役を務める傍ら、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)で招聘(しょうへい)教授として教壇に立つ夏野剛氏。現在48歳の氏は2人の子どもの父親でもある。コメンテーターとしてTV番組にも出演し、Twitterなどインターネット上でも幅広く積極的に発言を続ける氏に、日本の教育問題を中心に話を聞いた。

夏野氏にとってのモンテッソーリ教育の魅力とは

まつもと: モンテッソーリ教育について取り上げたこの記事「GoogleやAmazon、Facebook創設者も――成功者が皆受けた『集中力』教育プログラム」にTwitterで言及されていたことが今回の取材のきっかけです。この記事にはひろゆきさんなどもツイートしていて、大きな反応がありました。

夏野氏: なるほど、そうだったんだ(笑)。子ども達がモンテッソーリ教育をベースにした学校に通っていることもあり、関心を持っていました。僕はモンテッソーリ教育の肝は「異質なものたちが交わる環境の中で、自分で解決方法を見つけていくこと」にあるととらえていて、そこに魅力を感じているんです。

 僕の子ども達もそうですが、未就学児って1歳違うだけで体つきはもちろん、振る舞いも全く違ってくるじゃないですか。そういう子ども達が同じ場所で――つまり自分よりも圧倒的に強かったり、逆に弱かったりする環境の中で――大人に干渉されることなく、自分の立ち位置を見つけたり、他の子どもに教えられたり、教えあったりする。異質なものと常時過ごすことを当たり前のこととしてとらえられるようになるわけです。

shk_natsu0102.jpg 夏野剛氏

 ユニークな取り組みに思えるかも知れません。しかしこれは、われわれ大人の世界では本来は当たり前のことですよね。そう考えると、年齢ごとに学年を分ける今の教育システムのほうがむしろ変だということになる。3年生の子どもたちばかりが集まっているクラスだと、趣味や流行も似たようなものになりますが、そこに仮に6年生が混ざるとするじゃないですか。みんなが「ポケモン」に夢中になっているところに、「アイカツ」が突然持ち込まれたりする。「何それ!?」ってなりますよね。そういうところから、新しい遊び方とか、物の見方、人との付き合い方なんかを学んでいく。そっちのほうが良いと思いませんか?

 しかし日本の企業って、新入社員研修とか、年次に応じた待遇・教育を行ったりしているところもまだまだ多い。いわば非モンテッソーリ、均一を志向する方向になっているんだけど、いま「グローバル人材」の必要性が叫ばれている時に、実はこれって真逆なアプローチなんです。

グローバル時代の「英語」

まつもと: グローバル人材といえば「英語力」というのが、最近のトレンドではありますね。

夏野氏: でも本当はそうじゃない。語学って必要に迫られれば必ずできるようになるんです。そういう環境に放り込まれれば、生きてくために必要になるんですから。特に英語は、もうそのためのツール(道具)と化してしまいましたからね。ネイティブスピーカーみたいに凝った言い回しなんてできなくて良い。イギリスがEUに加盟していないにもかかわらず、会議の公用語が英語になって、英語非ネイティブな国の人たちが、下手くそな英語でやり取りするのが当たり前になったんです(笑)。とてもストレートな表現が選択される。そうしないと誤解が生じたりするんだから。

まつもと: 確かにこの10年〜20年で変わったのを実感します。

夏野氏: 国際会議のディスカッションの場で彼らが話す英語って意外に無茶苦茶だからね(笑)。語学をネイティブスピーカー並みに話せるようになるという重要性は下がったわけです。じゃあ何が大切なのか――それが、モンテッソーリ教育が重点を置く「多様性に対する寛容度と受容性」なんです。さまざまな国籍の人と仕事をしてると、価値観が違うんでイラッとすることってあります。「何でそこに拘るんだ」「マナーがなってない」みたいな感じに。でも、それが当たり前なんです。バックグラウンドが違うんだから、気にしても仕方が無い。彼らからすれば、「日本人ってなんでそんなに段取って考えるの」という風に見えてるんだから。

 違って当たり前、ということを受け入れ、自分の価値観を押しつけないこと、これが大事。そして、そういう人たちとも秩序を保てたり、交渉して動かしていったりできる力、それがいまグローバル人材に最も求められていることなんです。でも、「均質さ」を優先してきた日本では、これがいま遅れている。内輪で物事を進めるにはそれで良かったけど、グローバル化が進む現代、多様性への対応力を意識して高めていく必要があるわけです。

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