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» 2014年03月06日 11時30分 UPDATE

ボクの不安が「働く力」に変わるとき:中小企業のメンタルヘルス対策に、今、必要なこと (1/2)

中小企業にとってメンタルヘルス対策は難しい問題。では、メンタル的なダメージを受けてしまった「結果」ではなく「原因」のほうに視点を切り替えてみるのはどうでしょうか。

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),Business Media 誠]
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 先日、日本労働組合総連合会・新潟県連合会・上越地域協議会(連合上越)で講演をしました。テーマは「労働者の自殺対策」について。

 厚生労働省の自殺対策白書によれば、ここ十数年、年間で3万人近くの人が自ら命を絶っているそうです。自殺要因の1つが、精神疾患。その患者数は近年大幅に増加しており、平成23年で320万人を超えているそうです。内訳は多いものから、うつ病、統合失調症、不安障害、認知症などとなっています。

 私たち労働者が置かれているこのような状況に対し、厚生労働省は、増える自殺者や労働者のメンタルヘルス対策として、事業者へのストレスチェック義務化を進めています。

shk_take02.jpg 「労働政策審議会安全衛生分科会報告書について」より

 そこで、「中小企業でも対策を……」となるのですが、連合上越の担当者によれば、中小企業のメンタルヘルス対策はかなり難しいと言います。必要最小限の人材で事業を行っている企業も多く、「人材的、時間的余裕がない」「会社の規模的に専門家の常駐や相談室の設置は難しい」「金銭的な負担が大きい」「組織替えや作業転換をしたくてもできない」などが理由として挙げられます。

「結果」から「原因」に視点を切り替える

 中小企業にとってメンタルヘルス対策は難しい。それならば、メンタル的なダメージを受けてしまった「結果」ではなく「原因」のほうに視点を切り替えてみるのはどうでしょうか。

 NPO法人しごとのみらいで行った仕事のやる気とメンタルヘルス実態調査によれば、職場で悩みを抱えている人の割合は8割で、その悩みの理由で多いものの1つに「職場の人間関係」を挙げています。また、悩みを気軽に相談できる人がいない人の割合は4割にのぼっています。

 「今、仕事の悩みを相談するとしたら、誰に相談しますか?」という問いでは、多い順から「友人・知人」「同僚」「誰にも相談しない」となっており、「もし、仕事の悩みを誰にでも相談できるとしたら、本当は誰に相談したいですか?」という問いでは、上位から順に「上司」「専門家」「同僚」となっています。

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 ここから見えてくるのは、仕事の悩みは「本当は上司や専門家に相談したいのに、相談できていない」ということです。職場のコミュニケーションをよりよくして、上司が部下の話を聞いてあげればよいのでしょうか。

「悩みを聞く」ことの難しさ

 「職場のコミュニケーションをよくしましょう」「上司のみなさん、もっと部下の話を聞きましょう」と口で言うのは簡単ですが、それがなかなか難しいのが現実でしょう。筆者は現在40代ですが、同年代の管理職の人はよく、「若い世代とどう関わったらいいのか分からない」と口をそろえて言います。

 また「悩みを聞く」というのは、簡単そうにみえて意外と難しいものです。筆者は、傾聴やカウンセリングの手法を勉強して、会社員時代に同僚の話を聞いたり、独立後はビジネスパーソンのカウンセリングを行ったりしてきました。今でこそ自然に振る舞えるようになりましたが、最初のころは「うまく関われるだろうか」と不安や恐れがありました。

 同僚の話を聞く、ましてや、ネガティブな状態になっている人の話を聞くとなると、「ちゃんと話を聞けるだろうか?」「気の利いたアドバイスができるだろうか」「もし、自分が関わることでもっと悪くしてしまったらどうしよう」……そんな不安や恐れを抱いてしまい、声を掛けたくても掛けられないというのが、実際のところではないでしょうか。

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