インタビュー
» 2014年07月03日 11時00分 UPDATE

ドミノ・ピザのエクストリームオーダーを支える「iPad社員教育」、1人情シスで運用管理できるわけ (1/2)

公園や浜辺にアツアツのピザを届けます――。こんなオーダーアプリの提供で注目を集めたドミノ・ピザが社員教育にiPadを活用している。店舗に配布した300台超のiPadを管理するのは1人の情シススタッフ。少ないリソースで安全かつ効率的な運用ができるのはなぜなのか。

[柴田克己,Business Media 誠]
Photo ドミノ・ピザ ジャパン 経営管理部情報システム課シニアスペシャリストの山下誠一氏

 「公園の花見の席でオーダーしたら、本当に来ちゃった」――。ドミノ・ピザといえば、こんなエクストリームなオーダーを実現するアプリを開発したことで有名だ(関連記事「『本当に来ちゃった』――売上5億のピザ注文アプリ、ヒットの裏に『ワオ体験』」を参照)。いち早くスマホのGPS機能に着目し、“今、自分がいる場所”にアツアツのピザを届けてもらえるオーダーアプリを開発。公園や川べり、浜辺など、オーダーした人が「本当に来るの?」と思うような場所にちゃんとピザが届く面白さが大きな注目を集めた。

 そんな同社の社員教育を支えるのがアップルのiPadだ。これまで紙ベースの資料を使っていた店長、正社員、アルバイト店員向けの教育プログラムを2013年1月からデジタルに刷新。今では国内全店舗にiPadを導入し、eラーニング用の端末として活用している。

 タブレットを業務用途で利用する際には運用面とセキュリティ面の管理を徹底させる必要があり、ドミノ・ピザもiPadの導入にあたっては、運用ルールの設定やソリューション選びを慎重に行ったという。私用で使われることで生産性が低下したり、セキュリティリスクが増大するおそれがあるほか、タブレットのメリットといわれる「持ち運びやすさ」が紛失のリスクにつながる可能性があるからだ。

 ドミノ・ピザは、店舗に配布した300台超のiPadの安全性をどのような形で確保し、運用を効率化するためにどんな管理ソリューションを選んだのか。ドミノ・ピザ ジャパン 経営管理部情報システム課シニアスペシャリストの山下誠一氏に聞いた。

Photo 社員教育にiPadを活用しているドミノ・ピザ ジャパン

人材育成を加速するeラーニング端末としてiPadを活用

Photo iPadを使った教育プログラム

 ドミノ・ピザには、店舗運営スタッフの育成とスキルの向上を目指した教育プログラムがある。これは、店長、正社員、アルバイト店員のすべてに共通するプログラムで、店舗スタッフに必要な注文の受け方からピザの作り方、配達に至るまでの幅広い業務をマニュアル化している。これまで同社は、集合研修や現場でのトレーニングなどを通じて、このプログラムに沿った社員教育を行ってきたという。

 しかし、年間50もの新規店がオープンするという出店ラッシュは加速する一方で、そのスピードに合わせた迅速かつ効率的な人材育成が求められるようになってきた。こうした中、2011年に同社の社長であるスコット・オルカー氏が教育プログラム導入プロジェクトを立ち上げ、eラーニング用端末として全店舗にタブレットを導入することを決めた。

 従来、教育プログラムのコンテンツは紙ベースのものが中心だったため、コンテンツのデジタル化から移行作業を開始した。学習コンテンツのデジタル化にあたっては、各店舗のiPadで閲覧されることを前提に内容を大幅に刷新。教育プログラムは「Mammoth」と命名された。

 「これまで、アルバイトスタッフの教育はOJTが中心だったのですが、それを整備して、アルバイトから正社員、店長へのキャリアパスを考慮したコンテンツを用意しました。また、マニュアルをWebコンテンツ化することで、内容が変更された場合の更新作業もWeb上で一括して行えるようになりました。会社としては、以前は2〜3年ほどかかっていた店長候補の育成を約1年で行えるようなプログラムの構築を目指しており、iPadによるeラーニングがその実現に貢献すると考えています」(山下氏)

 2013年1月、同社は第1段階として30台のiPadを店舗に配布。その3カ月後に全店舗に展開し、現在では国内310以上の店舗でiPadによるeラーニングを実施している。店長が主導して行うアルバイトスタッフのトレーニングだけでなく、それぞれのスタッフが自発的にセルフトレーニングを行えるようになったことで、意欲的なスタッフが従来より早いスピードで業務の知識やスキルを身につけられる環境が整った。

 「eラーニングに移行することで店舗のスタッフは、自分がプログラム全体のどの段階に達しているかを客観的に把握できるようになりました。それは、セルフトレーニングを行うモチベーションの1つにもなっているようです。また、スタッフだけでなく、会社側もそれぞれのスタッフが身につけているスキルを可視化できるようになったことは大きなメリットです。将来のトレーニングプランを検討したり、人材登用を行ったりする際の有用な情報になっています」(山下氏)

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