インタビュー
» 2015年07月29日 08時00分 UPDATE

水曜インタビュー劇場(観光公演):地方の観光地を衰退させたのは誰か (5/6)

[土肥義則,ITmedia]

多くの日本人がリスクをとらない背景

アトキンソン: 「面倒くさい」と言っていれば、さまざまなリスクを回避することができます。例えば、コンビニでは同じようなサンドイッチが売っていますよね。ちょっと疑問に感じたので、アナリスト時代に某コンビニの幹部に話を聞いたところ、こんな答えが返ってきました。「他社で扱っている商品がなければ、上司から指摘される。そんな『面倒』なことになるのは嫌だから、他社と同じモノを扱っているんですよ」と。

 「面倒くさい」と言ってリスクを避けるのは、日本の強みである「人口」にも関係してきます。戦後、日本経済は成長しましたが、その要因として「日本人の技術力や勤勉さ」を挙げる人が多い。ソニーやホンダなどに代表される技術力、仕事に邁進する勤勉さなども挙げられますが、前編でもお伝えしたとおり、GDPの成長でいえば、「人口」という数字が大きな影響を与えました。

 「戦後の経済成長は奇跡」という人がいますが、先進国としてある程度の基礎ができていた日本において、「人口」が増えていけば、成功がかなり約束されたものだったんですよ。右肩上がりで成長するので、リスクをとる必要なんてなかった。

土肥: 待ちの姿勢でも儲かっていたので、リスクをとる必要がなかった。何か問題が起きれば「面倒くさい」と言って、なんとかその場をにごしてきた。

アトキンソン: 上司から言われていないことをやるような人間は、組織の「和」を乱すことになる。和を乱せば、同僚とトラブルを招くことになる。そんなことをしなくても、成長が続いていたので、「まあ、まあ、まあ」でやっていればうまく回っていたんですよ。不要な衝突を避けるために「面倒くさい」という言葉は便利だったのでしょう。

 日本人がリスクをとらないのは、農耕民族だから。西洋人がリスクをとるのは、狩猟民族だから。といったことを言う人がいますが、本当にそうでしょうか。世界中の農耕民族がリスクテイクしないわけではありません。世界中の狩猟民族がリスクテイクしているわけではありません。なので、この理屈はかなり無理があります。

 しかし、多くの日本人がリスクをとらない背景に、人口急増という強みが生み出した「文化」があると考えれば、納得できるのではないでしょうか。

土肥: なるほど。

多くの日本人がリスクをとりたがらない理由は……(写真はイメージです)

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