過去の成功事例にしがみつくタイプの人も、同種の行動パターンを持っています。
ビジネスパーソンにとって成功体験というのは、案外やっかいなもの。仕事に自信を付けるために成功体験は不可欠なものとされていますし、何かをやり遂げたという経験がビジネスパーソンとしての成長につながることも確かです。けれど、成功体験によって得られた成功事例を先々のプロジェクトでそのまま使おうとすると必ずといっていいほど失敗します。
保守的な企業でよく使われる「ノウハウの横展開」という手法で失敗するのは、この成功体験に固執しているケースがほとんど。成功体験が大きければ大きいほど、それが正しいと信じてしまいがちですが、物事は常に内外の環境変化にさらされています。たとえ同業他社であっても、経営戦略も、人材の構成や予算規模も何もかもが異なっていて当たり前です。
確かに、同業他社なら似たような課題が発生し、似たような手段で対応できるように見えることも多くあります。特に部分最適であれば、手っ取り早く先行事例を導入すれば解決しそうに見えたりするものです。けれど、実際にその先行事例を導入しようとすると、あちらこちらにひずみができ、うまくはまらず、結局は膨大な時間とお金をかけて大幅にカスタマイズをすることになります。
新しい技術やシステムを適切に受け入れること、自分の信じる方法を時に手放すこと。いずれも環境の変化に適応するといういわば生存競争に勝つために必要な行動パターンです。
「激しい環境変化の中で競争力を保つには、企業変革の重要性を認識し、大胆な戦略を打ち出し、スピーディに行動しなくてはならない。現状を見極め、迅速に意思決定を下せる、過去の成功体験にとらわれずに変化を受け入れる度量の広さを持つリーダーの存在が不可欠。」(MBAマネジメントブックより)
これは「リーダーの資質」という項の記述なのですが、リーダーに限って必要なものではなく、どんなビジネスパーソンにも必要なスタンスではないでしょうか。
いわゆる自然淘汰・適者生存という法則は、必ずしも強いものが勝つのではなく、環境の変化に適応して、変化できるものが生き残るようにできています。ビジネスの世界でも間違いなく当てはまる法則です。(日野照子)
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング