注目 タレントマネジメントを導入する企業

NTTコムウェアが導入した「タレントマネジメント」という“武器”新たな人事戦略(1/4 ページ)

» 2015年11月16日 08時00分 公開
[西山武志ITmedia]

 時代が変われば人は変わる。人が変われば組織も変わる、いや、変わらなければならない――。昨今の急速な社会と働き方の変容を受けて、多くの会社が人材評価の見直しを迫られている。その中で注目され始めているのが「タレントマネジメント」という考え方だ。現代に最適化された人材マネジメント方法とも評されているが、一体どういったものなのだろうか。国内でいち早くタレントマネジメントのクラウドサービスを導入したNTTコムウェアで、人材開発に携わる河本倫志氏に、導入の契機やその良し悪しについてお話をうかがった。

時代は職能からコンピテンシーの評価へ

 河本氏はまず、日本の人材評価方法の変遷について触れ、今の日本の人材マネジメントに変革が求められる背景について説明してくれた。

 「戦後から現代にかけて、日本の人材評価は年功から職能へとシフトしてきました。年功は『経験を積めば積むほど、出せる成果も大きくなる』という考え方ですね。そこから産業構造の変化に従って『どんな能力を持っているのか』を見る職能を評価するようになりました。この職能の判定基準は、必然的に年齢や成果も伴いやすいものであり、日本型の年功序列主義と欧米型の成果主義の折衷案として、非常によくできた評価指標でした。しかしながら、さらに時が流れて2000年代に入ると、新たにコンピテンシーという指標が注目されるようになったんです」

 コンピテンシーとは「業績優秀者の行動特性」を現す言葉だ。例えば、数多くの職能を持っていても、状況に応じて必要なスキルを見極める判断力や、積極的に業務に取りかかろうとする自主性がなければ、宝の持ち腐れになってしまう。このような判断力や自主性といった「数値化しにくいが成果には直結しやすい資質」を総じてコンピテンシーと呼ぶ。

 「コンピテンシーが重要視されるようになった大きな理由のひとつは、『新規ビジネスの加速に対応するため』です。昨今では次々と新しいプロジェクトが立ち上がるようになり、昔に比べて短いスパンで的確な人材配置が求められるようになりました。そのためには、単純な職能だけではなく、コンピテンシーも含めた各社員の正確な実力を見定める必要があります。この実力を公正な形で評価して、人事に活用していくことが『タレントマネジメント』の目的となります」

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