増沢隆太(ますざわ・りゅうた)
RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)RMロンドンパートナーズ(株式会社RML慶文堂)代表取締役。東京工業大学特任教授、コミュニケーション戦略家。人事コンサルタント兼大学キャリア教官兼心理カウンセラーで、東工大大学院では「コミュニケーション演習」の授業を行っているほか、企業では人材にも「戦略性」を重視する功利主義的アクティビティを提唱している。
コミュニケーションの指導をしていると伝えると、よく人から「お前は何を言っているのか分からない」と言われるのですがどうしたら良いですか? という質問を10人中3人くらいから言われます。コミュニケーションはディベートでも雄弁術でもありません。コミュニケーションに苦手意識を持つ人こそ、ゴール意識をもっていないのです。
そもそもコミュニケーションとは、「上手な話し方」のことではありません。相手があって成り立つものがコミュニケーションです。相手とどう接するか、相手をどうしたいのかというゴール設定により、当然伝え方も変わって来ます。「よく人から『お前は何言ってるのか分からない』と言われるんですがどうしたら良いですか?」という質問から、そのゴールは全く見えません。これが問題です。
コミュニケーション能力を高めたいということで恐らくこのような相談をされるのだと思います。しかしそもそも「何のために」コミュニケートするのでしょう。ゴール設定を抜きにコミュニケーションを考えることが間違っています。スポーツのルールも分からず技術を磨いても全く意味はありません。ルールにのっとって、勝敗・強弱・何らかの結果を達成するのがスポーツです。コミュニケーションもまた全く同じこと。
コミュニケーションに自信がないという方に限って、漫然とコミュニケーションをしがちです。意味なく友人や家族といった、結果を求められないオシャベリにおいて何も考えないのは普通です。しかしコミュニケーション能力を高めたい場合、「漫然と」ということはあり得ません。ゴールを考え、それを設定し、意識してコミュニケーションを進めるという構造を持たなければならないのです。
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