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» 2015年12月18日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:福島・只見線復旧問題――なぜ降雪地域に鉄道が必要なのか (1/4)

2011年の豪雨被害で不通になっている只見線について、福島県と地元自治体が「運行再開後の赤字、年間3億円を補てんする意向」と福島民報が報じた。鉄道を維持する利用者が見込めないと分かっていながら、それでも鉄道を残したい。その悲痛な思いはJR東日本と国に届くだろうか。

[杉山淳一,ITmedia]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


圧雪路ドライブで鉄道の重要性を感じる

 前回、岩見沢の711系電車を見に行ったと書いた。そこからレンタカーで富良野へ向かった。富良野線に乗ると、私はめでたくJR北海道の全路線完乗となる。2015年3月に北海道新幹線が開業するまでの短い記録だけど、ここまで来たなら乗っておきたい。

 711系電車があるレストラン「大地のテラス」は岩見沢駅からクルマで15分。バスの便は少なく、最寄りバス停からは1.4キロメートル。タクシーだと片道2500円。往復だと5000円で帰りの迎車料金は不要らしい。レンタカーの6時間料金はタクシーより少し高いけれど、時間の融通が利く。だからレンタカーで富良野駅へ直行した。岩見沢駅に戻り、列車で旭川、富良野を目指すとギリギリの行程となる。1本乗り遅れたら終わりだ。レンタカーで直行すれば日程もゆとりが生まれる。この機会にハイブリッド車に乗ってみたかったという気持ちもあった。

 問題は、11月中旬の北海道の道路だった。積雪なら岩見沢駅に戻ってクルマを返し、好天で積雪もなさそうなら富良野で乗り捨て、という2つのプランを考えた。幸いにも当日は晴天。前夜に降雪はあったけれど、市内の道は濡れた雨上がり状態だった。私は大地のテラスから富良野へ直行と決めた。コースは三笠市を経由して国道452号線を北上、芦別から国道38号線で富良野に至る。

 ドライブの前半は良好だった。山陰で雪が残り、凍結した部分もあったけれど距離は短い。しかし、観光名所の三段滝からは圧雪路の連続だった。前を行く小型車にペースを合わせ、同じ轍(てつ)を選び、速度もブレーキを踏む場所もマネをして何とか走り切った。前後にクルマのない単独行だったら、速度やブレーキのタイミングを誤って滑ったかもしれない。途中の対向車線で路肩に突っ込み放置されているクルマを見てぞっとした。

初冬の富良野線美瑛駅。山間部で積雪が始まっていた 初冬の富良野線美瑛駅。山間部で積雪が始まっていた
2012年2月。JR北海道釧網本線の列車最前部からの眺め。レールが雪を被っていても、列車は定時運転だった。鉄道は雪に強い。寒冷地こそ残す必要がある 2012年2月。JR北海道釧網本線の列車最前部からの眺め。レールが雪を被っていても、列車は定時運転だった。鉄道は雪に強い。寒冷地こそ残す必要がある

 富良野でレンタカーを返してつくづく思った。「鉄道のほうが安心だ」と。雪国にとって鉄道は必要だ。確かにクルマは便利だし、現在は道路状況も良い。主要道路は除雪も行き届いている。しかし、除雪作業の隙間に雪は積もり、道は凍る。日中でも圧雪路はでき上がる。冬期に24時間、いつでも安心して走れる道はない。そして雪道に自信を持つドライバーもいない。自信過剰なドライバーは、むしろ危険だ。誰もが少なからずスリップの危険を感じながら走っている。

 寒冷地ほど鉄道が重要だ。めったに雪が降らない都会でローカル線問題を議論する人は、そこを分かっているだろうか。

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