もうひとつの福島――「只見線」を忘れてはいけない杉山淳一の時事日想(1/5 ページ)

» 2012年12月28日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 現在、日本の鉄道路線のうち、13路線19区間が不通になっている。このうち、東日本大震災の被災区間は13区間で、内訳はJR東日本が10、三陸鉄道が3となっている。これらの路線は情報が豊富だ。バス転換、復旧進捗などがプレス発表され、報道も多い。しかし大震災以外の被災路線については、こうした情報に埋もれがちだ。

 大震災以外の不通区間は、JR東日本の岩泉線(全線)と只見線(会津川口―只見)、JR東海の名松線(家城―伊勢奥津)、三岐鉄道三岐線(東藤原―西藤原)、JR九州の豊肥本線(宮地―豊後竹田)だ。岩泉線は2012年3月にJR東日本が鉄道普及を断念、バスに転換すると発表した。名松線は2016年度に運行再開の予定である。豊肥本線は2013年8月に全線開通予定である。三岐線は最近、2013年1月12日に全線運行再開予定と発表されたばかり。

 このように、事故や災害で鉄道路線が不通になった場合、復旧や廃止の動きが報じられたり、鉄道会社から今後の見通しについてプレスリリースが出される。最近は自社サイトで公開する鉄道会社が多いので、私たちも報道を待たずに状況を把握できる。東日本大震災の被災区間は国民の関心も高く、報道や公式発表も多い。

 そんななか、鉄道会社の発表がほとんどなく、報道もあまりされない区間がある。JR東日本の只見線、会津川口―只見間だ。

赤色が只見線。茶色が不通区間(Google Mapより)
       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.