もうひとつの福島――「只見線」を忘れてはいけない杉山淳一の時事日想(3/5 ページ)

» 2012年12月28日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

JR東日本に復旧の意思はあるのか

 JR東日本の公式Webサイトでプレスリリースを検索すると、被災から2012年12月20日まで、只見線の情報は出ていない。大震災の被災路線の状況やBRT(バス高速輸送システム)化、岩泉線のバス転換などは見つかった。しかし只見線はない。運行情報で不通区間と復旧の知らせが出た程度だ。JR東日本の仙台支社と新潟支社は、運行再開や代行バス時刻のプレスリリースを出しているが、現在の不通区間については「運転再開の見込みが立っておりません」のままである。只見線についてはバス転換やBRTの話も出ない。いったい只見線をどうするつもりなのか。JR東日本に問い合わせた。

 「現在は3つの橋の残骸を撤去する作業中。次の段階として、今後の災害再発の可能性を考え、どのような橋をかけるか、いまの場所がいいか、あるいは適切な付け替えルートを考えるかを調査する。その結果が決まったところで、架線に係る工事のため関係各所と協議が必要。工事費用の検討も必要」とのことだった。

 とにかく「安全第一」を強調する。言われてみればそのとおりだ。しかし手順は理解できるけど、スピードは納得できない。鉄骨やコンクリート橋桁(はしげた)などの残骸をバラして運び出すだけで、1年以上もかかるものだろうか。1年といっても冬季は道路が閉鎖されるし、凍結で作業が困難だ。そうだとしても、半年もかかるだろうか。小型で高性能な重機を投入し、人出を増やせばもっと早くできるのではないか……。

JR只見線第6鉄橋・本名地区(豪雨災害前、出典:金山町)
JR只見線第6鉄橋・本名地区(豪雨災害後、出典:金山町)

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