「ウェアラブル元年」は、一体、いつだったのか。
研究者用の「Google Glass」やサムスンの初代腕時計端末「GALAXY Gear」が発売された2013年か。ナイキやソニーのリストバンド型端末が話題を呼んだ2014年か。それとも、満を持して「Apple Watch」が発売された2015年だったのか。
しかし、いまのところ、Apple Watchの登場をもってしても、B2C市場においてウェアラブル端末は、期待されたほどの大きな市場には育っていない。「ウェアラブル元年」など、ないのかもしれない。
2007年の「iPhone」発売以来、家電市場を牽引してきたスマートフォンはコモディティ化し、市場が飽和した。電機メーカーや関連企業は、ウェアラブル端末に「ポスト・スマホ」の幻想を抱き、いささか期待を寄せ過ぎた感がある。
腕時計型やリストバンド型のウェアラブル端末は、現段階では、単体では使い勝手が悪い。つまり、あくまでスマホあっての製品だ。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)のGoogle Glassも期待は大きかったが、グーグルはプライバシーなどの問題から一般ユーザー向けの販売を見直すとした。類似製品は数多くあるが、「市民権」の獲得には程遠い。
ウェアラブル端末が、「市民権」の獲得に苦戦するのはなぜか。私は、一般ユーザーからしてみると、ウェアラブル端末の用途、メリットがハッキリしないからだと思う。
例えば、腕時計型端末は、一体何のために使うのか。メールやSNSのチェック、検索ができるなどといわれても、結局はスマホあっての機能である。わざわざ腕時計型端末を買う必要があるだろうか。その端末だからこそ味わえる、楽しくて便利な使い方が思い浮かばない。
つまり、スマホに比べてどんな新しい使い方ができ、どんなメリットがあるのか分かりにくいのだ。B2C市場におけるウェアラブル端末は、スマホのアクセサリー機器の域を出ていないといっていいだろう。
ところが、ここにきて、ウェアラブル端末が急速に「市民権」を獲得しつつある場所がある。製造、建設などの「現場」である。
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