出版社の倒産、2年連続で増加

» 2016年02月03日 14時52分 公開
[ITmedia]

 2015年の出版社の倒産は38件で、2014年(35件)より3件増加していることが、東京商工リサーチの調査で分かった。1996年以降の20年間でみると、4番目に少なかったが、2013年(33件)を底に2年連続で増加。「2015年の全産業の倒産は8812件と7年連続で減少をたどっており、対照的な状況が際立つ結果となった」(同社)

出版社の倒産件数(出典:東京商工リサーチ)

 2015年の出版物の販売額は1兆5220億円(前年比5.3%減、出版科学研究所調べ)と11年連続で前年を割り込んだ。「こうした業界を取り巻く厳しい環境を背景に出版社の倒産は増勢をたどっており、今後の展開も楽観できない状況が続いている」(同社)

出版物の販売金額(出典:東京商工リサーチ)

 最大の負債となったのは「美術出版社」(負債額:19億5600万円)で発行していた『美術手帖』は新設法人に引き継がれた。だが、「パッチワーク通信社」が発行していた『パッチワーク通信』などの定期刊行物は倒産により休刊。出版物の販売額は10年以上にわたり減少をたどっているが、その影響は全国各地で書店の廃業や他社資本の傘下入りなどの動きにつながり、昨年6月には中堅の出版取次業者だった「栗田出版販売」が民事再生法の適用を申請している。

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