オーナーが同居しない空き部屋シェアリングは規制強化せよ世界で80万以上の宿を提供(1/5 ページ)

» 2016年02月26日 07時30分 公開
[日沖博道INSIGHT NOW!]
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日沖博道氏のプロフィール:

 パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。今季講座:「ビジネスモデル開発とリエンジニアリング」。


 「シェアリング・エコノミー」の代表例は配車サービスのUberと、空き部屋シェアサービスのAirbnbである。いずれも日本市場に上陸済だが、かなりの注目を集めると共に、ちょっとした論議を呼んできた。Uberについては別の機会に回すとして、本稿で採り上げたいのはAirbnbのほうだ。コミュニティーにとってのセキュリティの観点から考えてみよう。

 「シェアリング・エコノミー」が新しい潮流として世界的に注目されている。欲しい人のために新たにモノを仕入れる代わりに、既に所有している人と必要とする人をつなぐことで、もしくは共同で保有することでニーズを満たすというコンセプトの、有望でユニークなビジネスモデルが続々と生まれている。資源の無駄使いを避けてサービスが提供でき、社会的にも望ましいものだ。

 ウィキペディアには、「Airbnbとは、宿泊施設/民宿を貸し出す人向けのウェブサイトである。世界192カ国の3万3000の都市で80万以上の宿を提供している」とあり、既に世界中に普及している人気サービスであることが分かる。

 Airbnbのビジネスモデルは、宿泊スペースを借りたいユーザー(ゲスト)と、宿泊スペース物件を持つユーザー(ホスト)をつなぐeマーケットプレイスである。取引する「商品」は宿泊スペースというわけだ。ゲストもホストもそれぞれあらかじめ登録(無料)しておく必要がある。価格はホストが自由に設定でき、予約料金に応じてAirbnbは手数料を受け取るというのが基本的な収益モデルだ。

 Airbnb自体は宿泊スペースの在庫を持つ必要がないため、非常に低リスクだ(本人確認や保険などいろいろと担保する必要はあるが)。そして、もともと誰も使わない空き部屋を個人が貸し出すのだから、格安に提供され、若い旅行者を中心に世界中で大ブレークしたのである。

 Airbnbは日本市場への進出においてもさまざまな軋轢(あつれき)と批判を生んでいる。「防火・防犯の備えのない施設が貸し出されて危険だ」といったゲストへの心配の声や、「あまりに安いので、旅館や民宿・ペンションの経営が打撃を受ける」という既存業界側からの反発があるのは、他の国と変わらない。旅館業法に実質的に違反する人たちに小遣い稼ぎの手段を提供しているのだから、フェアに言ってもこのビジネスはグレーな性格を帯びている。

(出典:Airbnb公式サイト)
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