道南いさりび鉄道の観光列車「ながまれ海峡号」勝利の方程式杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/5 ページ)

» 2016年03月25日 11時00分 公開
[杉山淳一ITmedia]
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予約は好調 観光列車の新しいビジネスモデルに

 ところで、運行日が5月に1回、6月に2回、7月に1回、8月に2回となっている。試験運行の意味合いがありそうだ。3月18日から販売を開始し、2日目にはボックスシート残席1、ロングシートがわずかで、好調なスタートと言えそうだ。売り上げ目標や損益分岐点客数などは……。

 「必ずしも運行単体の収益を見込んでいるわけではないため、損益分岐点は算出が難しいところです。目標は全列車のすべての枠の完売です」(瀬端氏)

 九州の第3セクター、肥薩おれんじ鉄道の開業は2004年、観光列車「肥薩おれんじ食堂」の運行開始は2013年で、9年かかっている。肥薩おれんじ鉄道の場合は専用車両の開発もあったため長期間を要した。えちごトキめき鉄道の観光列車「えちごトキめきリゾート 雪月花」は新造車両で、開業から1年後の2016年4月から運行開始予定だ。

 それに比べれば、道南いさりび鉄道の開業から2カ月というながまれ海峡号の運行開始はロケットスタートだ。もちろん、改造車両だからハードも早く整えられた。しかし、メニューや食材の調達、提供方式など、サービスの準備も早かった。

 道南いさりび鉄道は列車運行に集中し、観光列車サービスは日本旅行がまるごとプロデュースする。観光列車の上下分離モデルは、観光集客に注目する他のローカル鉄道路線にも参考になりそうだ。そして、北海道が望む「道東・道北豪華観光列車」の礎になるかもしれない。

【変更履歴】一部事実と異なる箇所があったため、記事初出時から変更しております。訂正してお詫び致します。(3/25 18:00)

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