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» 2016年04月06日 08時00分 UPDATE

店舗改装する店も:ママを狙え! 変化する飲食店のランチタイム戦略 (1/3)

これまで飲食店でのランチといえば、都内でも客単価1000円前後が一般的だった。ところが、新たな需要の掘り起こしによって、客単価を倍以上にしている店が増えている。一体何が起きているのだろうか。

[三上成文,ITmedia]

 お昼時のオフィス街。牛丼チェーンや立ちそば屋などにできた行列に並ぶサラリーマンたち。ようやく入店したと思ったら、出てきた料理をわずか数分で平らげ、店を後にする。支払いはワンコイン(500円)以内だ。

 こうしたサラリーマンの“過酷な”ランチ事情とまではいかないが、一般的にもこれまで平日のランチタイムといえば、顧客は1000円前後を払い、1時間程度で済ますというイメージが強かった。ところが、最近のランチ事情は少し違っている。

 さまざまな飲食店でアルコールや少し贅沢(ぜいたく)感のあるメニューなどを提供し、夜の飲み会やディナーとはいかないまでも、お酒を楽しみながら長時間滞在する顧客が増える傾向にあるのだ。大手グルメ情報サイトでも「昼宴会」「ママ会」というカテゴリができるほどの需要がある。

昼宴会やママ会などランチタイムの使い方に変化(写真はイメージです) 昼宴会やママ会などランチタイムの使い方に変化(写真はイメージです)

 ママ会とは、子どもを持つ母親の集まりのことだ。小さい子どもを一緒に連れて参加するケースもあれば、子どもが幼稚園や学校に行っている間に、母親だけで行われるケースもある。従来のママ会は、周りに気を遣わなくても良いように、参加メンバーの家で開かれることが多かった。また、子ども連れの入店を断る飲食店もあるため、外でのママ会はハードルが高かった。

 しかし、女性の社会的活躍が叫ばれる昨今、活発になったのは社会に出た女性だけでなく、主婦層にまで広がった。子育ての悩みや相談をする場を、カフェやレストランという場所に移して開催するようになったのだ。ママ会に選ばれるお店の条件は、ベビーカーで入れる、個室がある、子どもが転んでも安心な座敷、絨毯(じゅうたん)、キッズメニューがある、授乳室があるなどさまざまだ。一方、飲食店側もママ会需要を取り込むために、これらの条件を満たすような工夫が目立つようになってきた。

子連れ客ターゲットの店舗も

 きちりが運営するカジュアルダイニング「KICHIRI」は、夕方から深夜までの営業が中心で、立地によってはランチタイムの営業も実施してきた。靴を脱いでくつろげ、半個室がメインという特徴から自然と子ども連れの客がランチで増え始めていたため、2014年10月にオープンした「KICHIRI MOLLIS」は、ランチタイムのメインターゲットを子連れ客とした。広いエントランスをベビーカー置き場として活用したり、個室を授乳室として提供したりなどの仕掛けを打ち出した。

KICHIRI MOLLISの店内 KICHIRI MOLLISの店内

 ほかにも、お子さまメニューの提供や、子どもが転んでも安心な絨毯を敷くなどが、オープン当初からすぐにクチコミで広まった。現在もランチタイムは約9割が子連れ客で、毎日予約でほとんどの席が埋まるという状態が続いており、対前年比130%で伸びているとのことだ。ちなみに、客単価は1800円前後と、通常のランチ客単価の倍近くになっている。

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