インタビュー
» 2016年04月13日 08時00分 UPDATE

水曜インタビュー劇場(流れ星公演):「人工流れ星」を流すことで、どんなことが分かってくるのか (1/5)

2018年、「人工流れ星」を流す計画がある。流れ星は上空60〜80キロメートルを飛ぶ予定だが、実現すればどんなことが分かってくるのか。企画をしているALEの岡島CEOに話を聞いた。

[土肥義則,ITmedia]

水曜インタビュー劇場(流れ星公演):

 「出世したい。出世……。ちぇ、また言えなかったよ」――。

 流れ星が消えるまでに願い事を3回となえると、その願いはかなう。おまじないのような、伝説のような話を聞いたことがあると思うが、流れ星はすぐに消えてしまうので、実際に言えたことがある人はほとんどいないはず。

 しかしである。数年後、流れ星が流れている間に、願い事を3回言えるようになるかもしれないのだ。「またテキトーなことを言って。まさかスピードが遅くなるっていうの? バカバカしい」と思われたかもしれないが、その“まさか”である。宇宙ベンチャーの「ALE(エール)」が、人の手で流れ星を流そうとしているのだ。

 自然の流れ星は、宇宙空間に漂う数ミリ程度のチリが大気圏に突入し、明るい光を放ちながら燃えることで発生する。同社の岡島礼奈CEOは2001年に「しし座流星群」を見て、「ひょっとしたら自分の手で流れ星をつくれるのではないか」と考え、そこから研究に着手。地上で実証実験を行ったところ、自然に発生する流れ星よりも、ゆっくりとした速度で、かつ長い時間をかけて横切っていくことが分かってきた。

 自然の流れ星を見て「出世したい。出世……ちぇ、また言えなかったよ」と悔しい思いをしたかもしれないが。人工の流れ星を見て「出世したい。出世したい。出世したい」ときちんと言えるかもしれないのだ(もちろん、だからと言ってなれるわけではない)。

 今後も実験を繰り返し、サービス開始は2018年を予定している。まるで夢のような計画を実現させようとしているわけだが、本当に流れ星をつくることはできるのか。流れ星を流すことでどのようなビジネスを考えているのか。岡島さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

 →あなたの“願い”はかなう? 世界初の「人工流れ星」に驚き(前編)

 →本記事、後編


土肥: 前回、「人工流れ星」とはどういった仕組みなのか、流れ星を流すことでどういった楽しみ方ができるのか、といった話を聞かせていただきました。ただ、「このプロジェクトはそれだけではない」という話もされましたが、それはどういう意味でしょうか?

岡島: まず、自然の流れ星のことが詳しく分かるようになります。自然の流れ星は、大気中で燃え尽きてしまうので、実は正確な成分などがよく分かっていません。そこで、人工流れ星を飛ばすことによって、物体が大気圏に突入する際の挙動(光るときの光の強さや波長など)を把握することができます。人工流れ星の素材、突入速度、突入角度は分かっているので、そのデータを蓄積することで自然の流れ星のことが分かってくる可能性があるんですよ。

土肥: い、いきなり難しい話ですね(汗)。自然の流れ星のことが分かってくることで、私たちにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

岡島: 火星と木星の間に小惑星帯があるのですが、そこには「太陽系ができたときの素材がそのまま残っている」という説があるんですよね。「地球にも残っているのでは?」と思われたかもしれませんが、地球の場合、太陽系ができてからさまざまな変化が加わっているので、当時の素材を見つけるのが難しい。しかし、小惑星帯はまだそれほど変化が起きていないと言われていますので、初期の太陽系の謎がどんどん分かってくるかもしれません。

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