クルマを所有せず、使いたいときに利用することができるカーシェアリング(以下、カーシェア)。スマホなどから予約して手軽に使えることから、じわじわと利用者が増えているようだ。
えっ、本当に? 街中でカーシェアのクルマが走っているところなんて見たことがないよと思われたかもしれないが、下のグラフを見ていただきたい。交通エコロジー・モビリティ財団の調査(2015年3月)によると、カーシェアの駐車場数は9461カ所(前年比25%増)、車両台数は1万6418台(同33%増)、会員数は68万1147人(同46%増)。いずれも大幅に伸びていて、普及率(人口当たりの会員数)をみても世界の中で上位にランクインしているのだ。
ということは、カーシェアを扱っている会社はさぞかし儲(もう)かっているんでしょ、と推測されたかもしれないが、世の中それほど甘くはない。現在カーシェア事業に参入しているのは30社前後だが、黒字化を達成しているのは時間貸し駐車場を運営している「パーク24」のみなのだ※。
ちょっと考えてみれば、カーシェア事業で黒字を確保するのは大変なことが想像できる。事業を始めるにあたって「クルマ、駐車場、会員」――この3つの要素は不可欠。会員を獲得する前にクルマと駐車場という莫大な資金が必要になる典型的な「先行投資型ビジネス」であるために、事業を黒字化するまでに長い年月がかかってしまうのだ。
カーシェアを運営している会社をみると、トヨタやらニッサンやらオリックスやら、日本を代表する名前がズラリと並んでいるのに、なぜパーク24だけが黒字化を達成できたのか。その謎を調べていくと、同社の“生い立ち”に深く関係しているようだが、それだけではない。全国の駐車場を管理しているシステム「トニック(TONIC)」が、見えないところで大車輪の活躍をしていたのだ。
事業をスタートしてわずか5年という短い期間で、なぜ黒字化を達成することができたのか。また、システム「トニック」はどのような働きをしているのか。カーシェア事業「タイムズカープラス」を担当している内津基治さんに、話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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