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» 2016年04月18日 08時00分 UPDATE

池田直渡「週刊モータージャーナル」:テスラは未来のクルマか? (1/4)

世界的なカリスマ経営者、イーロン・マスク率いる米テスラが新型「モデル3」を発表した。既に予約が殺到し「電気自動車がメインストリームになった日」というが、果たしてそうだろうか?

[池田直渡,ITmedia]

 3月末日、米テスラは同社第4の製品「テスラ・モデル3」を公開し、予約を開始した。反響はテスラの予想を上回り、予約金(日本では15万円)を必要とするにもかかわらず、グローバルで32万5000件の予約が入ったと4月7日のリリースで発表した。

テスラが3月31日に発表した新型「モデル3」は早くも予約が殺到している テスラが3月31日に発表した新型「モデル3」は早くも予約が殺到している

 テスラでは、発売一週間での反響としては過去最大のものであり、お金をかけた広告や宣伝活動をいっさい行っていない中で、自然発生したムーブメントだとアナウンスしている。テスラ自身はこれを受けて「電気自動車がメインストリームになった日」と言うが、果たしてそうだろうか? テスラの企業としてのあり方について点検し直してみようというのが今回の趣旨である。

テスラの13年

 テスラという会社が何者であるか、既にご存じの方も多いだろうが、一応、概要をなぞっておく。テスラは2003年に設立された電気自動車の専門メーカーであり、本社所在地は米国・カリフォルニア州、シリコンバレーの企業の1つとして知られている。

 世界的カリスマ経営者であるイーロン・マスクが率いる企業であり「次世代自動車産業の旗手」として注目を集めている。

 イーロン・マスクの言葉によれば、テスラの企業価値は「持続可能な輸送手段へのシフト」である。持続を妨げるものとして何に注目しているかと言えば、それは「地球温暖化」だ。一般に地球温暖化は温室効果ガスが原因になっているとされており、自動車の排気ガスで最も影響が大きいのは二酸化炭素(CO2)だ。電気自動車は走行中のCO2排出量はゼロとなるから、温暖化抑制につながり、地球環境を維持したまま、輸送手段を持続可能にするという理屈である。

 また同時に、内燃機関を持つ自動車の排ガスによる人体被害を軽減したいという主張もある。米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究では、米国内での自動車排気ガスが原因となって年間5万3000人が死んでいるという。電気自動車ならこれらの人的損害も軽減、あるいは撲滅(ぼくめつ)できるということになる。

 さて、持続可能性社会のためにイーロン・マスクは何をしたか? 最初に取り組んだのは電気自動車のイメージ改革である。モデル3発表時のイーロン・マスクの発言を引用すると「(世間は)電気自動車は遅く、ダサく、航続距離は短く、パフォーマンスも悪いものだと思っていました。その固定観念を壊す必要がありました」

 問題は、品質向上と低価格化を両立させるためのスケールメリットの壁をどう越えるかだ。そこを飛び越えられない新規テクノロジーは消えてゆく。テスラはここで奇手を生み出す。

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