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» 2016年04月29日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:ローカル鉄道と地域を支える“寄付ツーリズム”のすすめ (1/4)

熊本地震における南阿蘇鉄道の被害が甚大だ。その支援のため、第三セクター鉄道4社が合同で寄付金を募る復興祈念切符を販売している。南阿蘇鉄道も義援金受け入れ口座を開設した。鉄道ファンとしては参加したい。寄付から始まる特別な思いが、大きな満足となる。

[杉山淳一,ITmedia]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


南阿蘇鉄道の支援へ、第三セクター4社が連携

 熊本地震で被災した鉄道路線の復旧が進んでいる。九州新幹線は4月27日14時台から全線で運行を再開した。不通区間はJR九州の豊肥本線肥後大津〜豊後竹田間と、南阿蘇鉄道高森線の全線だけだ。豊肥本線は阿蘇大橋を崩落させた土砂崩れによって線路が破壊された。現在も土砂に埋まったままだ。付近の国道57号、国道325号も損壊が大きく、復旧までかなり時間がかかりそうだ。

 南阿蘇鉄道高森線の被害も深刻だ。熊本日日新聞によると、トンネル内の壁の剥離(はくり)、土砂崩れによる路盤崩壊、橋梁も壊れたという。仮に部分復旧するとしても高森駅〜中松間の7.2kmにとどまり、約3週間を要するとのこと。全線復旧は少なくとも1年以上かかり、復旧費用は50億円以上になりそうだ。高森線は立野駅で豊肥本線と接続しているから、末端の高森駅〜中松間を復旧させても乗客を期待できない。しかも、スイッチバックで観光客に人気の立野駅は豊肥本線の不通区間内にある。このままでは南阿蘇鉄道にたどり着けない。

南阿蘇鉄道の被害は甚大(出典:南阿蘇鉄道公式サイト) 南阿蘇鉄道の被害は甚大(出典:南阿蘇鉄道公式サイト)

 困窮する南阿蘇鉄道を支援しようと、第三セクター鉄道会社が動いた。千葉県のいすみ鉄道、茨城県のひたちなか海浜鉄道、秋田県の由利高原鉄道、鳥取県の若桜鉄道が共同で「南阿蘇鉄道 希望の光 復興祈念切符」を発売した。4社の入場券に南阿蘇鉄道全線の乗車券を加えた5枚1セットで1000円。300円の印刷経費を除く700円が南阿蘇鉄道への寄付金になるという。

 いすみ鉄道社長の鳥塚亮氏のブログによると、今回はひたちなか海浜鉄道社長の吉田千秋氏の発案だという。三陸鉄道とひたちなか海浜鉄道が東日本大震災で被災したとき、いすみ鉄道が単独で両社を支援するために復興祈念切符を販売した。その支援への感謝も含めて、仲の良い第三セクター鉄道の社長に呼び掛けたとのこと。

 南阿蘇鉄道 希望の光 復興祈念切符は、参加4社の駅窓口で販売されている。インターネット販売は実施されていないようだ。確か東日本大震災の復興祈念切符はいすみ鉄道の通販グッズ販売コーナーでも入手できた。私はいすみ鉄道が販売するレトルトカレーが好きで、それとお菓子などを併せて通販で購入した記憶がある。

 ローカル線各社としては、この機会に電車に乗りに来てくれて、切符を買ってほしいという意図もあると思う。しかし可能ならば通販もお願いしたい。ちゃっかり自社製品も併せて売ってもいいじゃないか。被災していなくても経営が苦しい会社だ。本来は支援してもらいたい側でもあるから。

「南阿蘇鉄道 復興祈念切符」由利高原鉄道は通販も実施中(出典:由利高原鉄道公式サイト) 「南阿蘇鉄道 復興祈念切符」由利高原鉄道は通販も実施中(出典:由利高原鉄道公式サイト
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