133年目の奇跡を成し遂げたレスター・岡崎慎司のスゴさ赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)

» 2016年05月03日 06時47分 公開
[臼北信行ITmedia]

臼北信行(うすきた・のぶゆき)氏のプロフィール:

 国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。

 野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。


岡崎慎司が所属するレスター・シティFCが優勝した(出典:レスター・シティFCの公式Twitter)

 これは素晴らしい快挙だ。サッカーの英プレミアリーグで日本代表・FW岡崎慎司の所属するレスター・シティFCがクラブ創設133年目にして初優勝を遂げた。

 1日(日本時間2日)に敵地オールド・トラッフォードで行われたマンチェスター・ユナイテッド戦で勝てば優勝が決まるところだったが、結果は1-1のドロー。それでもアウェーで強豪相手に苦戦しながらも引き分けへと持ち込み、勝ち点「1」をもぎ取った。この試合で岡崎も後半67分まで出場。得点にこそ絡まなかったものの持ち前のハードワークは健在で多くの英メディアから及第点を上回る評価を得た。そして迎えた2日(同3日)。2位のトッテナム・ホットスパーがチェルシー戦で引き分けたためレスターの初Vが決まった。

 いま、欧州のプロサッカーリーグで活躍する日本人選手は数多くいる。しかし今シーズン、岡崎が成し遂げた偉業はこの海外組の中でも大きく評価されるべきだろう。

 その岡崎が所属するレスターは歴史の深いチームであっても決して「強豪」ではない。特にここ数年は低迷期にあった。2003-04シーズンでプレミアリーグ18位となり、下部リーグへ降格。以降は7シーズン連続で下部リーグを戦い、プレミアリーグに復帰した昨シーズンはギリギリまで残留争いを繰り広げて14位へ滑り込み、何とか降格を逃れた。

 そんな伏兵、いや弱小チームが世界最高峰と呼ばれるリーグの中でVの本命と言われていた強豪チームを次々と下す番狂わせを起こし続け、最後は見事にVをつかんだ。昨季降格危機に瀕したチームがわずか1年後に奇跡のリーグ初優勝――。まさにこの「ジャイアント・キリング」が成就した要因は今シーズンからチームの新指揮官に就任した名将クラウディオ・ラニエリ監督の「堅守速攻型」の戦術がチームにピタリとハマったことも無論大きい。いわゆる守備を固めて相手を自陣へと攻めこませておいてから、ボールを奪って一気にゴールを目指す「カウンター・サッカー」だ。

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