4000万人がやって来る 外国人が驚く、インバウンド事情

英国で“爆買い”が増える? 外国人がたくさんやって来るかもしれない世界を読み解くニュース・サロン(1/3 ページ)

» 2016年07月14日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

世界を読み解くニュース・サロン:

 今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。

 欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。


EU離脱派が勝利したことで、英国に外国人がたくさんやって来る!?

 6月23日に英国で欧州連合(EU)から離脱(ブレグジット)するかどうかを問う住民投票が行われ、離脱派が勝利したことで大騒ぎになったことは記憶に新しい(関連記事)

 言うまでもなく、ブレグジット問題は政治的な混乱をもたらしている。今後、離脱がどう転ぶのかまだ分からない部分もあり、混乱が収まる気配はない。当面は、次期首相になるテリーザ・メイ内相とその新政権がEUに離脱を正式通知し、きちんと離脱交渉がスタートするかどうかが注目される。しばらくは様子見ということになるだろう。

 またブレグジットの結果は、経済面にも影響を及ぼしている。結果が出た直後、ポンドは対ドルで1日の下落率が過去最大を記録し、7月5日には31年ぶりに安値記録を更新したと大きく報じられた。その後もポンド安の状態は続いているが、イングランド銀行(英中銀)が金融緩和政策を示唆し、政策金利の低下が予想されるなど、今後もポンド安が続く可能性も指摘されている。

 そんな混乱状況にあって、ブレグジット投票後の英国で盛り上がりの兆候を見せているといわれる分野がある。インバウンド市場だ。

 ブレグジットが決まってすぐの27日、英旅行比較サイトの「Cheapflights(チープフライツ)」は、「先週金曜日に行われた英国での国民投票の結果は、英国のインバウンド・ツーリズムにとっての『ブレグジット・ブーム』の引き金となった可能性がある。世界を旅する人にとって、ポンドが苦戦することによって、英国が突然お値打ちになっている」と語った。つまり、ブレグジットによるポンド安で、世界中の旅行者が英国にこれまでよりもリーズナブルに訪問できるようになる。英国のインバウンド市場が盛り上がるのだ。

 そしてこう続ける。「英国人がブレグジットを決めてから数日で、米国から英国行きの旅行券検索数が2倍になり、中国から英国行きのチケット検索数は61%も増加している。カナダから英国への検索も49%増だ」。さらに「欧州諸国から英国へのチケット検索数も同時期に31%増え、特にスペインからは84%増、イタリアからは62%増であり、この2国の旅行者たちは早くも英国行きを検討しているのである」と述べる。

 同社の広報担当者は著者の取材に、「英国への関心は高まっており、全体で私たちのこの時期の予想を30%以上も超えている。ここのところインバウンドの取り込みで欧州のライバル国との競争で苦戦していた英国のインバウンド・ツーリズムには素晴らしいニュースだ」と語っている。

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