中国で、ローソンの店舗数がものすごい勢いで伸びている。2013年は297店にとどまっていたが、2016年6月末現在で750店。わずか2年半で、2.5倍に拡大しているのだ。この勢いはまだまだ続く予定。記者会見の席で竹増貞信社長が「2020年までに4倍の3000店にする」と言うので、「おー!」と思っていたら、次に玉塚元一会長が「3000店を達成できれば、おのずと1万店が見えてくる」とかぶせてきたので、「おー! おー!」と驚いた次第である。
しかし、中国を統括している人が「(2021年2月期には)営業利益を50億円を達成したい」と胸の内を明かしたところ、玉塚会長が「夢のねえ話だな!!」と声を荒げたので、場が凍り付く一幕も。50億円というちっぽけな数字ではなく、新たなサービスを追加することで「100億円、200億円を目指す!」と言ってほしかったのだろう。とまあ、そんな感じで、いまはとにかく「増やせ、増やせ」「大きく、大きく」といったムードが漂っているのである。
こうした話を聞くと、「中国でローソンは順調なんだなあ」と思われたかもしれないが、実は違う。山あり、谷ありだったのである。
中国1号店は1996年、周囲にマンションが建ち並ぶ上海でスタートした。当時、日本式のコンビニが誕生した珍しさもあって行列が絶えなかったが、やがて客足は遠のいてしまう。店舗数も伸び悩んでいたので「このままではいけない」となり、2002年に現地企業が主導になって店舗を運営することに。すると、わずか2年で店舗数が倍増(100→200店)。「やったー、やったー」と喜んでいたものの、その企業が国策の一環で再編の渦に飲み込まれてしまったのだ。
再び、迷走の時代に突入する。店舗数は300店前後をいったりきたりするなかで、競合のセブン-イレブン、ファミリーマートの海外店舗は順調に拡大していく。一人負けの状態が続いていたローソンは、またしても「このままではいけない」となり、2011年に現地企業から経営権を取り戻し、日本の本社が建て直すことになるのだ。
この20年、起伏の激しい経営を展開してきたローソンが、なぜここ数年で急激に店舗数を伸ばすことができたのか。その秘密を探るために、中国でマーケティングを担当している吉田涼平さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンライン編集部の土肥義則。
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