“無法地帯”奈良市ごみ処理場 職員たちのあきれた実態(1/4 ページ)

» 2016年08月04日 13時59分 公開
[産経新聞]

 職場に“私設”トレーニングルームが設置されていたことが判明した奈良市のごみ処理場「環境清美センター」。市がさらに建物を調べたところ、回収された廃棄物や電化製品が処分されず至るところに放置され、エアコンや冷蔵庫、テレビ、アダルトビデオを備えたプレハブ小屋が無断で作られているなど、“無法地帯”と化していた実態が明らかになった。市は建築基準法に違反しているとしてこれらを撤去したが、その後の調べでトレーニング器具は「業務中の事故を防ぐための体力向上」を名目に、10年余り前に公費で購入されていたことが判明。仲川げん市長は「現在の世の常識では、残す合理的な理由はない」と話すが、信じがたいことに一部職員からは「移設し存続を」「撤去は不当労働行為だ」との声が上がっている。

本格フィットネスジムさながら

 ごみ処理場の問題は、仲川市長が7月12日の定例記者会見で「環境清美センターの駐車場棟に違法建築。これ何かというと、トレーニングルームです」と述べ、表面化した。

 会見後、現場を確認しようとする報道陣がセンターに詰めかけた。だが、カギを管理する環境部の40代男性職員は「誤解を与えるような報道につながりかねない」と、内部の公開を拒否。市側も強制的にカギを取り上げることなく、この日は結局、市が調査の際に撮影した写真を報道陣に提供しただけだった。

 その後、撤去作業が進む現場でやっと確認できたトレーニングルームは、想像以上に本格的な造りだった。

 駐車場棟4階の一角にベニヤ板を張り巡らせて作られた「施設」は縦11メートル、横8メートルほどの広さ。トレーニングスペースと物置の2部屋に分かれ、各種のトレーニング器具のほか、回収品とみられるエアコンを取り付けた様子も。ブレーカーやコンセントも整備され、時計、鏡、扇風機などの備品もあり、フィットネスジムさながらの充実ぶりだった。

 はがされたベニヤ板には「アカン 力抜けるわ」、「イケるんか イケるかな」など、利用していた職員によるとみられる落書きも。トレーニング器具の正確な数などは不明だが、市によると、撤去後に別棟に移されたのは数十個のダンベルやバーベル、ベンチプレスのほか、大型のラットプルマシンもあったという。

 ある市職員は「本気で筋トレするつもりでもなければ、あそこまでの機器はそろえられないだろう。相当本格的なトレーニングをしていたのでは」とあきれ顔だった。

プレハブ小屋内は冷蔵庫にクーラー、ソファ、テレビ、空気清浄機も完備され、アダルトビデオのテープがぎっしり並んでいた
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