東京五輪よりも大きい“ネコ”の経済効果 なぜいまブームなのか新人記者(応援団長)が行く(1/2 ページ)

» 2016年09月20日 06時30分 公開
[鈴木亮平ITmedia]

新人記者が行く:

 アラフォーの鬼編集者に囲まれつつも、毎日必死で記事を書いている新人のスズキとアオヤギ。元高校球児で“史上最強の応援団長”の呼び名を持つスズキと、家にいるのが何よりも好きな女オタクのアオヤギ。平成生まれの2人が「最近気になること」に突撃していきます。連載バックナンバーはこちら


鈴木 この前、SMAP解散による経済損失について教えてくれた関西大学の宮本勝浩名誉教授が広島東洋カープ優勝による経済効果を算出していたね。


青柳 「街コン」の経済効果や「甲子園」の経済効果とか、いろんな経済効果を算出していることで有名な先生ですからね。さすがミスター経済効果。


鈴木 実は今年、ネコの経済効果に関する論文を発表したみたいだよ。


青柳 ネコ! 最近は「ネコノミクス」とか言われるほどのネコブームらしいですし、気になりますね。というか、なぜいま流行ってるんでしょうか。


鈴木 よし、詳しい話を宮本先生に聞いてくる!


ネコが年間で生み出す経済効果は?

 近年、イヌの飼育数が減少し続けるなか、ネコの飼育数は増加傾向にある。また、ネコの写真集をはじめとする書籍や映画、CMなどのコンテンツが急増しているほか、和歌山電鐵貴志川線貴志駅の「たま駅長」のように、ネコを使った集客活動を展開する自治体も増えてきている。いま、「ネコノミクス」という造語が生まれるほどのネコブームが巻き起こっているのだ。

 なぜいまネコブームなのか。そしてネコにはどのくらいの経済効果があるのか。世間で話題になっているあらゆる出来事の経済効果を算出する“ミスター経済効果”こと宮本勝浩名誉教授(関西大学)に話を聞いた。

photo ネコが年間で生み出す経済効果は?

鈴木: 感覚的にもネコが好きな人はかなり多いと思いますが、ネコは一体、どれほどの経済効果を生んでいるのでしょうか。

宮本: まず、エサ代、おもちゃ代、病院代などを含むネコ1匹の飼育にかかる平均年間費用を算出したところ、11万1424円でした。これに全国のネコの飼育数987万4000匹を掛けると1兆1002億57万6000円になります。

鈴木: 飼育費用だけで1兆円超えですか……。

宮本: このほかに、ネコ関連の書籍やグッズ、テレビ番組、CMなどのコンテンツの売り上げが30億円。次に、ネコによる観光効果が40億円となります。この観光というのは、自治体がネコを使ってPRしたことによる効果や、猫カフェなどの店舗の売り上げも含まれます。

鈴木: ネコを駅長や館長に就任させるなどしてPRした際の効果ですね。

宮本: そうです。いまネコを町のPRキャラクターに起用する自治体はどんどん増えてきていますよね。さて、合計すると直接効果が1兆1072億57万6000円です。前回のSMAPの話と同じように、波及効果まで計算すると、一次波及効果が6676億円、二次波及効果が5414億円。全て足すと、ネコの経済効果は2兆3162億円もあるということになります。

鈴木: 2兆3162億円! 大きすぎてピンときません!

宮本: 例えば、日本の2大テーマパークである東京ディズニーリゾートとユニバーサル・スタジオ・ジャパンの経済効果(推計1兆〜1兆5000万円)を足してもネコには勝てません。また、2020年の東京五輪の経済効果は2013〜2020年の7年間で3兆円と言われていますから、いかにネコの経済効果が大きいのか分かります。

鈴木: 年間の経済効果では東京五輪よりも大きい。凄すぎる……。

宮本: 私もびっくりして何度も計算し直しました。

photo ネコの経済効果、内訳
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