電通の女性新入社員が過労自殺する事件が起きるなど、長時間労働が問題視されている現在、企業の労働環境の実態はどうなっているのだろうか。市場調査会社のマーシュ(東京都渋谷区)が、「残業時間に対するアンケート調査」の結果を発表した。
調査は、製造業、サービス業、医療・福祉業などに従事する男女320人を対象に、インターネット上で10月18〜21日に実施した。
「1カ月あたりの平均残業時間」の調査結果は、「残業なし」と答えた人が最多で、全体の約2割。次いで「5時間未満」、「5〜10時間未満」が上位となっている。過労死の労災認定の目安となる月80時間以上の残業をしている人は全体の1.3%と少なかった。
年代別では、20代の残業時間が全体的に平均を上回る結果に。企業規模別では、「残業はない」と答えた人の勤務先は「中小企業」が「大企業」を18.7ポイント上回っており、大企業ほど残業時間が長くなる傾向が顕著だった。
週に1日程度の定時退社日を設ける「ノー残業デー」の実施率については、「制度がない」が全体の約6割と最多。「制度はあり、実施されている」は約2割と少ない結果となった。
企業規模別では、「制度はあり、実施されている」が大企業が中小企業の約3倍となっており、制度面では大企業が進んでいることが分かった。
休日出勤の有無については、「休日出勤はしていない」が全体の約6割。出勤日数は「1年間に2日」が最も高く、休日出勤が常態化している企業は少数と言えそうだ。
ただ、年代別でみると、30代に「1年間に21日以上の休日出勤をした」と答えた人が多く、立場や仕事内容によっては多忙な場合もあるようだ。
1年間の有給休暇の取得状況を全体でみると、「1〜5日」が29.5%、「6〜10日」が26.5%、「11日以上」が24.2%と、「取得しなかった」の16.2%を上回る結果となった。「長時間労働が美徳とされる傾向にあった日本の働き方は、少しずつ変化をとげている」とみている。
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