インタビュー
» 2016年11月16日 08時00分 UPDATE

水曜インタビュー劇場(新素材公演):「石灰石」がこの世を変えるかもしれない、これだけの理由 (1/6)

「LIMEX(ライメックス)」という新素材をご存じだろうか。石灰石を原料にして紙やプラスチックをつくることができるわけだが、どのようなメリットがあるのか。商品を開発したTBMの担当者に聞いたところ、環境に優しいだけではなく……。

[土肥義則,ITmedia]
石灰石を使って新素材「LIMEX」が誕生した

 近い将来、ビジネスシーンでこんなやりとりが増えるかもしれない。いや、すでにもう行われているかもしれない。名刺を交換する際、「これを機に、縁が切れませんように」という人が。「な、なんだよ、いきなり」と思われたかもしれないが、テキトーなことを言っているわけではない。いま、破れにくい素材でできた名刺が出回っているのだ。

 その素材とは、石灰石を主成分にした「LIMEX(ライメックス)」というモノで、2011年に創業した「TBM」という会社が開発。これまでの紙と違って表面はつるつるしていて、記者もチカラを入れてみたものの、なかなか破ることができなかった。紙の場合、少しチカラを入れただけで「ビリビリ」と破くことができるが、LIMEXでできた紙はかなりチカラを入れなければいけない。破れたときの音は「ビリビリ」ではなく、「パリッ!」。プラスチック製品を割ったときの音に似ているのだ。

 「なかなか破れないことはよーく分かった。けど、破れにくい名刺ってどんなメリットがあるの?」と思われた人も多いかもしれない。実はこのLIMEX製の紙は、水も木も使わずにつくられているのだ。従来の紙を1トンつくろうとした場合、水は約100トン、木は約20本必要になるが、LIMEX製の紙は石灰石0.6〜0.8トン、ポリオレフィン樹脂0.2トンのみである。

 石灰石は地球上にたくさん眠っていて、枯渇の心配はご無用。じゃんじゃん採掘して、万が一、なくなりそうになっても大丈夫。再生紙の場合、リサイクルは3〜5回しかできないが、LIMEXの場合、原料が石なので半永久的にリサイクルが可能なのだ。驚くのはまだ早い。新素材を使ってプラスチックをつくることもできるのだ。従来のプラスチックは石油系樹脂100%でできているが、LIMEX製は石灰石70%、石油系樹脂30%で構成されている。この数字は何を意味するのか。石油の使用量を減らすだけでなく、CO2の排出量も60%削減できるので、いわゆる“環境に優しいモノ”をつくることができるのだ。

 「はいはい、エコな素材ね。でも、新しく開発されたモノだから、価格は高いんでしょ」と思われたかもしれないが、実はそれほど高くない。というか、従来品と比べて同じくらい、いや、モノによっては安いのだ。例えば、名刺。某大手の価格と比べて、安く設定されている。プラスチックについてはどうか。某大手コンビニチェーンはプラスチックのリサイクル費用に年間17億円も支払っているが、LIMEX製のモノを使えば0円。さらに「紙と同じように、LIMEX製のプラスチック商品も低価格で提供することができる」(TBM)という。

 石灰石を使って紙とプラスチックをつくる――。これまでになかった素材をどのようにして開発したのか。新素材は開発費用などがかかっているのに、なぜ低価格で提供できるのか。TBMの河野博さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

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