なぜ人々は、ビッグデータを「不安」と感じるのかIoT・AIにも不信感持つ人多数

» 2016年12月02日 18時58分 公開
[ITmedia]

 昨今、さまざまな企業がビッグデータやIoT(モノのインターネット)関連の事業を推進している。商品の購入履歴やGPSによる位置情報などパーソナルデータを企業が取得し、ビジネスで活用することが増える中、人々に抵抗はないのだろうか――。博報堂と日立製作所が意識調査の結果を発表した。

 パーソナルデータのビジネス利用について、不安と期待のどちらの感情が大きいかを聞いたところ、「不安に感じる」と答えた人は52%を占めた。一方、「期待する」と答えた人は19.5%と少数だった。また、男女別では、女性のほうが不安に感じる人が14.6ポイント多かった。

photo データビジネスに対する感想

 今回の結果は、2年前の調査結果とほぼ同じだという。技術が進歩したにもかかわらず「期待する」との答えが伸び悩む理由については、「前回の調査以降も、企業が個人情報を漏えいする事件が続いており、人々は不安をぬぐえないのでは」とみている。

 具体的な理由としては、「利用に関する拒否権がない」が最多で、59.3%を占めた。以下、「規約外の用途で情報を使われるおそれがある」(52.3%)、「データ取得に関する説明が不十分」(51.0%)と続いた。ただ、企業が「利用終了後はデータを破棄する」との方針を明示する場合はその限りではなく、8割近い回答者が「不安が軽減する」と答えていた。

photo 不安に感じる理由

 IoTや人工知能(AI)のビジネス利用に対しても人々の不信感は根強く、どちらも約半数が「不安だ」と答えた。その要因は、IoTに対しては「接続機器が増える分、情報漏えいの可能性も高まる」(48.9%)、「自分が気付かないままデータを収集される」(39.6%)が上位を占めた。AIについては「データの確認・削除が人の手でできない」(39.0%)、「機械の分析によって、意図せず個人が特定される恐れがある」(36.8%)が多かった。

photo IoT・AIに対する不安要因

 ただ、人々は、データビジネスの全容を理解しているわけではないようだ。調査では、データ活用のメリット・デメリットをはっきりと理解しないまま、漠然とした不安感を持つ「低関心層」が回答者の44.2%を占めていた。「人々の関心を高めるため、情報発信とプライバシー保護施策を徹底することが重要。IoT・AIについては、セキュリティ技術を確立し、データの収集・分析の際に適切に制御する仕組みを実装することが望ましい」とみている。

photo データビジネスに関するリテラシー調査の結果

 調査は9月15日、全国の20〜60代の男女1030人を対象に、インターネット上で実施した。

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