「NAVERまとめ」、元記事に還元する仕組み導入へ「WELQ」問題を受け

» 2016年12月05日 19時30分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 LINEは12月5日、運営するキュレーションプラットフォーム「NAVERまとめ」の運営方針を変更すると発表した。まとめられた1次情報発信者にインセンティブが還元される仕組みを2017年中に導入する。キュレーションメディアに批判が集まっているのを受け、対応策を打ち出す。

 NAVERまとめは、個人がWeb上のコンテンツを集めることができるキュレーションサービス。まとめたユーザーはPV数に応じて報酬を受け取る。月間PVは約26億1000万、月間UU(ユニークユーザー)は約7000万に達する、日本最大のキュレーションプラットフォームだ。

日本最大のキュレーションプラットフォーム「NAVERまとめ」

 これまでのNAVERまとめの運営について、LINEの島村武志上級執行役員は、「著作権侵害への対策は、常時監視体制を敷き、法規制ガイドラインに沿って対応していた。非表示にしたまとめは表示にしているものよりも多いほど。しかし、監視だけでは判断できない権利侵害があった」という。また、「まとめられている情報の1次提供者の権利保護や還元に課題があった」という。

 ディー・エヌ・エー(DeNA)が運営するメディアに端を発し、各社のキュレーションメディアへの批判も高まっている。LINEは課題を解決するため、LINEは「まとめ作成者にオーサー(著者)ランクを適用」「1次情報発信者の権利保護」という2つの新方針を導入する。

まとめ作成者のオーサーランク

 これまでNAVERまとめでは誰でもまとめを作成することができ、どの投稿者のまとめも平等に並んでいたが、今後はLINE IDで認証を行い、作成者の経歴、背景などを審査や承認し、ランクを付ける。ランクに応じて上位表示や、PVに応じた報酬がより高いレートになるなどのインセンティブを設定する。

 「より専門的な知見や知識があるまとめ作成者ほど、力が発揮できる場所を作っていきたい」(島村氏)

1次情報発信者の権利保護

 現在は、基本的にまとめ作成者のみがPV報酬を得られるシステムになっているが、まとめられたコンテンツの1次情報発信者にも還元する。

 1次情報発信者は、サイトやURL単位で著者登録を行う。審査、承認後は、1次情報発信者が「この情報はまとめていい」「この情報はまとめ不可」など利用範囲を設定可能にするという。

 コンテンツがまとめで紹介された場合、貢献の指標に応じて1次コンテンツの著者にインセンティブを還元する。その割合は未定だが、「まとめ作成者よりも多くを還元する必要があるかもしれない」(島村氏)という。

 LINEは以前からNAVERまとめの運営方針について課題を感じていたが、改善の難易度が高いと考えて取り組めていなかった、という。しかしWELQをはじめとするキュレーションメディアの問題を受けて、今回の判断に踏み切ったとしている。

LINE島村武志上級執行役員

 「今回、『キュレーション』とは何なのかと考え直す機会を得られたと思っている。経営面でのコストはかかるため、利益は削ることになるかもしれないが、コンテンツを作成する人、コンテンツを流通させる人、その情報を必要とする人、その全てにとってより良いインターネットを作りたい」(島村氏)

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