1998年公開され18年が経つ今でもUSJのホラーイベントで登場したり、『貞子VS伽椰子』なんて続編もつくられるホラーキャラクターの貞子は実は伊豆大島の出身。詳しくはググっていただきたいが、超能力者だった貞子の母はインチキ霊能者と迫害を受けて、三原山に身を投げる。呪いのビデオにも三原山の映像が登場している。
2015年1月31日の『朝日新聞』によれば、『観光客のなかには、今も「ロケ地はどこですか」と尋ねる人がいる』というほど、ホラーファンの中では「三原山=貞子」というイメージは根強い。1億9000万円で、シン・ゴジラ像を建てるのなら、伊豆大島の伝統的な民家を改装して「貞子の生家」でもつくったり、三原山の火口をはじめ、映画さながら、島内をめぐって「貞子の呪いを解くミステリーイベント」でもやったらどうか。伊豆大島の歴史のPRや伝統文化の保存にもなる。一石二鳥だと思うのだが、伊豆大島の事業者からするとそのような方向性は言語道断のようだ。
先の『朝日新聞』で、大島観光協会会長の白井岩仁さんが苦笑いしながらこんなことをおっしゃっているのだ
「正直なところ、リングは島の観光にとってあまりありがたくないですね」
なぜゴジラはよくて、貞子はここまで毛嫌いされるのか。それは三原山の「負の歴史」を思い起こさせるからだろう。
『三原山噴火口は戦前、自殺の名所だった。観光協会刊『大島観光史』などによると、昭和8(1933)年、東京の女学校生の自殺報道を契機に、9月までに129人死亡。未遂者も多く「三原山病患者」と呼ばれた』(朝日新聞 2015年1月31日)
住民感情としてはよく分かるが、世界的に見てもこんな不思議な事件が起きた火口は珍しい。「Jホラー最恐ヒロインの故郷」との相乗効果で、「ミステリーアイランド」として訴求すれば、これまで伊豆大島に見向きもしなかった観光客が足を運ぶことだってある。実際、米国のセドナのように、1億9000万のシンボルなどなく奇岩がゴロゴロしているだけなのに、「パワースポット」というだけで世界中から観光客が訪れているケースもある。三原山の奇岩群などうってつけだ。
いや、とにかく「貞子」と「ミステリースポット」だけは伊豆大島的には絶対NGだというにしても、「シン・ゴジラ」に手を出す前にまだまだやれることは山ほどある。
例えば、島に訪れた人々の多くが求めている漁業体験だが、現在、大島観光協会のWebサイトを開いても、「漁業体験」という文字を見つけることができず、かろうじて「釣り船」とあるが連絡先は2つしかない。
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