ロボティクス世界市場、20年に2倍以上に国内市場も拡大傾向

» 2017年01月24日 18時18分 公開
[ITmedia]

 IT専門調査会社のIDC Japanが1月24日発表した世界のロボティクス関連市場予測によると、2020年の同市場は16年の2倍以上に拡大する見通しとなることが分かった。日本を含むアジア太平洋地域の市場が全体の3分の2以上を占め、最も成長する予測となっている。

 世界のロボティクス・関連サービスの支出額は、20年に1880億ドル(約21兆円)となり、16年の915億ドル(約10兆円)の2倍以上に拡大する見通し。ロボティクス関連市場にはロボットシステム、システムハードウェア、ソフトウェア、ロボット関連サービス、ドローン、アフターマーケットなどが含まれる。

 16年の業種別の支出額は、製造業が50%以上を占めている。内訳は、組み立て製造が31%、プロセス製造が28%。この傾向は20年まで継続し、20年は製造業の支出額が約1100億ドルに達する見込みだ。ユースケース別では「組み立て・溶接・塗装」と「ミキシング」がそれぞれ2割以上を占めている。

photo 2016年の世界ロボティクス関連市場 ユースケース別支出額(IDC Japan)

 16年に支出が多かった産業分野は、資源(80億ドル)、消費者(65億ドル)、医療(45億ドル)の3分野。この順位は20年まで変わらないが、消費者と資源の差が縮まる予測だという。20年までに最も高い成長率が見込まれる分野は、消費者や医療、小売りだとしている。

 製品別では、ロボットシステムやアフターマーケットといったハードウェアに対する支出額が16年に400億ドル以上、アプリケーション管理などのサービス関連支出額は200億ドル以上だった。今後の急成長が見込める製品セグメントはドローンとそのアフターマーケットで、20年に200億ドル近くになると予測している。

 地域別では、アジア太平洋地域が世界市場の3分の2以上を占める状況が20年まで続く見通し。20年には15年の2倍以上に拡大し、最も成長する地域になるという。16年に129億ドルだった北米・中南米は、147億ドルだった欧州・中東・アフリカを18年までに上回ることが見込まれる。

 日本の16年のロボティクス関連支出額は104億ドル(約1兆円)。ユースケース別では、「組み立て・溶接・塗装」と「ミキシング」で5割近くを占める。日本でも市場は拡大傾向にあり、20年には15年の2.3倍になる見通しとなっている。

photo 2016年の国内ロボティクス関連市場 ユースケース別支出額(IDC Japan)

 米IDC Manufacturing Insightsによると、一般的な産業用途でロボットが普及するスピードは早く、「有力なロボティクス関連企業の中には、この2〜3年で年間平均成長率が自動車業界の2倍を超える企業もある」という。

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