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» 2017年02月20日 07時29分 UPDATE

強みは2つ:小田急電鉄の強みから、何を学べるのか (1/3)

東京山手線から放射状に各地へ向かっていく私鉄各社。どれも同じように見えるかもしれないが、それぞれの会社には異なる戦略があり、それに各社の強みをかけあわせ、鉄道事業を行っている。ビジネスパーソンは、私鉄各社から何を学ぶことができるのか。

[小林拓矢,ITmedia]

 新宿から小田原へ、江ノ島へと路線が伸びていく小田急電鉄。地図を見ただけでは、観光路線か、と思ってしまう人もいるだろう。しかし、代々木上原から和泉多摩川までの複々線化がいよいよ完成することからも分かるように、膨大な通勤需要をさばくという使命も持っている。

 この「観光=憧れ」と「通勤=現実」を両立させ、しっかりとした基礎を築くのが小田急の鉄道会社としての強みである。

小田急の名声を確固たるものにしたロマンスカー

 小田急といえばロマンスカーである。そう言いたくなるほど、ロマンスカーは沿線の住民だけでなく、全国の鉄道ファンに親しまれている。首都圏の私鉄では、東武と並んで、最高級の有料特急サービスを提供しているのではないか。

 そんな有料特急を走らせることにより、多くの人はロマンスカーに憧れを抱くようになる。これは、働く人だけではなく、サービスを受ける顧客にも強いモチベーションを喚起させる。

 ロマンスカーは、有料特急として新宿から小田原・箱根湯本、藤沢・片瀬江ノ島を結んでいる。最近では、通勤客向けに相模大野などから新宿に向かう人もいれば、北千住から東京メトロ千代田線を経由し、箱根湯本や本厚木に向かう人もいる。

 多様な区間設定を行い、需要を喚起するとともに、ロマンスカーという「憧れ」を多くの人に提供し、自社に親しみを持ってもらう。それにより増収を確保しようとするのが小田急の戦略である。

 もちろん、ロマンスカーには専用の特急車両が使用されている。ロマンスカーの車両の特徴といえば、前面展望が可能な車両ということである。前面展望、それは少年たち、あるいは少年の心を持った大人たちが心ひかれるものである。この「心ひかれるもの」を確保することが、小田急としては大事なのである。

 普段、通勤で使用している人たちも、駅でロマンスカーを見ることは多い。その際に抱く「いいなあ、ロマンスカーに乗りたいなあ」という思いが、小田急沿線住民を小田急線内で引越しさせることはあっても、他線区に流出させにくくしているのかもしれない。

 そういった人たちが、箱根へと観光旅行に出かけるときには、ワクワク感を覚えるであろう。いつかはロマンスカーで、できれば前面展望が可能な先頭の席で、と思い通勤電車に乗っていた人たちが、いよいよロマンスカーに乗るときには嬉しいはず。その嬉しさを利用者に想像させるのが、小田急のひとつの戦略なのである。

小田急のロマンスカー(出典:小田急電鉄のFacebookページ)
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