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» 2017年03月03日 06時00分 UPDATE

「JINS MEME」誕生秘話:JINSが目指す、眼鏡で「認知症ゼロ社会」 (1/2)

「体の内側を知る」をコンセプトにジェイアイエヌが開発した眼鏡型ウェアラブル端末「JINS MEME」――。実はこのJINS MEMEが将来、認知症のない世界を実現するのかもしれないという。

[鈴木亮平,ITmedia]

 「眼鏡(JINS MEME)で認知症のない世界を実現する」――。

 そう語るのは、眼鏡メーカーのジェイアイエヌで「JINS MEME」プロジェクトのリーダーを務める井上一鷹さんだ。

 同社は、PCのブルーライトをカットして目の疲れを軽減する「JINS PC」(現・JINS SCREEN)や、花粉症対策に効果的な「JINS 花粉CUT」など、さまざまな革新的商品を生み出してきた。その中でも、特にここ数年話題を集めているのが眼鏡型ウェアラブル端末、JINS MEMEである。

 JINS MEMEには3点式眼電位センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーが搭載されており、装着した人の目の動きと姿勢から「身体の状態」を計測できるのが特徴だ。

 実はこのJINS MEMEが近い将来、認知症のない世界を実現するのかもしれないという。

photo 井上一鷹さん

認知症予防のために誕生したJINS MEME

 井上さんがジェイアイエヌに入社したのは2012年。もともとは経営コンサルティングの会社で働いていたが、次第に「自分も何かイノベーションを起こせる仕事をしたい」と転職を考えるようになった。そのときの転職活動で出会ったのが同社だ。

 「ちょうど『JINS PC』がローンチされて3カ月ぐらいの頃でした。ブルーオーシャン(競合相手のいない領域)に大きな投資ができる社風が魅力的でしたし、眼鏡は身につけるぐらい人と距離が近いものなので、工夫次第で何か新しい市場を作れるかもしれないと思いました」(井上さん)

 井上さんは入社した1年後に新しく立ち上がった事業部「R&D室」に配属され、当時はまだ構想段階であった「JINS MEMEプロジェクト」のリーダーになった。同プロジェクトについて井上さんは「もともとセンサーで目の動きを捉えるというアイデア自体は東北大学の川島隆太教授からいただいていました。その頃からJINS MEMEの開発目的は『認知症予防』です」と説明する。

 「川島教授は認知症の研究者。研究では、認知症患者と健常者を比べたとき、『目の動きが遅くなる』『重心が少し後ろになる』という仮説をお持ちでした。そこで、川島教授と協力して眼鏡を認知症予防のデバイスとして活用できないかと考えたわけです」

 眼鏡に各種センサーを取り込むことで、目の動きだけでなく姿勢(重心バランス)も見える化することができる。また、その人の普段の状態を常に取り続けることができるため、認知症になる前にその傾向を捉えて対策を打つことが可能になるという。

 「一度認知症になってしまうと、完治させることのは困難だが、JINS MEMEの活用によって認知症になる前に対策を打つことで認知症問題の根本的な解決策になる」

photo JINS MEMEが認知症のない世界を実現する?

 他にもさまざまなプロジェクトがあった中で、井上さんがJINS MEMEプロジェクトの参加にこだわったのには理由がある。

 「高校のときに、祖父が認知症を患いました。身近で認知症患者を見てきたことで病気の過酷さを知りましたし、その経験から大学で認知症の研究者になるために医学部を目指した時期もありました」

 その当時はまだ、認知症という言葉も存在しなかった時代。周囲から理解が得られなかったこともあり、結局は理工学部へ進んだという。それから10年後、川島教授と出会い、このアイデアを聞いたときに「これなら認知症予防を実現できるかもしれない。自分の親が認知症になる前に形にしたい」と強く思ったという。

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