日本の長時間労働の現状は?東京商工リサーチ調べ

» 2017年03月10日 19時17分 公開
[ITmedia]

 日本の長時間労働の現状はどのようなものか?――東京商工リサーチは3月10日、長時間労働に関するアンケート結果を発表した。8割の企業で残業削減に取り組んでいるが、大企業に比べ中小企業では受注や賃金の減少への影響が大きく、労働時間削減へのハードルが高いという。

 「残業がある」と答えたのは93.8%。企業別に見ると、大企業は98.2%、中小企業などは92.4%で残業があると回答している。

残業がある企業は9割を超える(=東京商工リサーチ)

 残業する理由は「取引先への納期や発注量に対応するため」(37.6%)がトップで、「仕事量に対して人手が不足している」(24.7%)「仕事量に対して時間が不足している」(21.1%)、「日常的なことなので特に理由はない」(7.3%)――と続く。また、「実質的に残業代が給料の一部になっている」といういわゆる“生活残業”の回答もあった。

残業する理由は?

 残業を減らす努力をしている企業は全体の79.7%。主に取り組んでいることは、「仕事の効率向上のための指導」「仕事の実態に合わせた人員配置の見直し」「ノー残業デーの設定」など。しかし、中小企業は人手不足や余裕の乏しさから、大企業よりもノー残業デーに取り組みづらいという。

残業削減、どのような取り組みをしている?

 残業を減らす取り組みをしていない理由は、「必要な残業しかしていない」(51.0%)が半数を占めた。2位につけたのは「したくても、取引先との関係からできない」(19.8%)だった。

 残業時間の上限が決まり、労働時間が短縮する場合に予想される影響の1位は「仕事の積み残しが発生する」(28.9%)。「受注量(売上高)の減少」(16.0%)「従業員の賃金低下」(14.1%)など。大企業よりも中小企業などのほうが、残業削減による営業面への影響を懸念している結果となった。

残業時間の上限が決まった場合、どのような影響がある?

 残業時間の上限規制導入を目指している政府、経団連と連合は、繁忙期の上限を一般的に過労死ラインと言われている「月最大100時間」とする方向で調整しており、議論を呼んでいる状態だ。東京商工リサーチは「中小企業は資金的な余力も乏しく、人員、取引関係など自社での取り組みに限界も抱えている。人口減少と高齢化が進む中で、労働人口は減少し、単なるムダを省く合理化では問題の根本的な対応は難しいともいえる」と分析している。

 2月14〜24日の期間で、インターネットリサーチを行った。1万2519社からの有効回答を集計した。

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