不振だった「USJ」が急成長できた理由長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/4 ページ)

» 2017年03月14日 06時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 ハリウッド映画のテーマパークとして、2001年に誕生したユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)。米国ユニバーサル・スタジオの海外進出第1号として造られた。

 初年度の入場者数は1100万人を数え、世界でもオープンから最も速いペースで1000万人を突破したテーマパークとして、華々しいデビューを飾った。しかしながら、2年目は700万人台へと大幅に落ち込み、多少回復した年もあったが、おおむね800万人台で推移。2009年には日本経済のデフレが深刻化する中、過去最低の700万人台前半にまで落ち込んでいた。

 この不振に陥っていたUSJをV字回復に導いた立役者が、運営会社のユー・エス・ジェイを今年1月に退社した森岡毅執行役員・CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)である。

 森岡氏がUSJに入社したのは、2010年6月。以降の入場者数の回復は目覚ましく、13年には初年度以来の1000万人に到達。14年には過去最高の1200万人を突破した。15年には東京ディズニーシーを抜いて1390万人となり、世界第4位のテーマパークにランクイン。そして16年10月には、単月で過去最高の175万人を集客し、ついに東京ディズニーランドを抜いた(10月の単月のみ)。

 東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを合わせた東京ディズニーリゾート(TDL)には、まだまだかなわないが、TDLの16年度上半期(4〜9月)の入場者数は0.3%減。15年の通期も14年より減少しており、勢いは明らかにUSJの方にある。

photo 連日大盛況のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)

 森岡氏のスゴいところは、USJのV字回復を8年連続で値上げをしながら達成したことだ。現在のUSJのチケット(1日券大人・12歳以上)は税込で7600円。TDLの税込7400円(1日券大人・18歳以上)よりも高い。USJの開園時のチケット代は5500円だったが、それから2000円以上も値上がりした。

 値上げしつつも、顧客満足度を向上させて、さらなる集客につながる健全なインフレの持続を成し遂げているのだ。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.