長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
松屋フーズの牛めし業態「松屋」に続く第2の柱、低価格とんかつ業態「松のや」の出店が加速している――。
2016年3月期決算短信(連結)によれば、前期はとんかつ業態を中心に出店し、松のや23店、松屋4店の計27店を出店している。それに対して、松屋18店、海外その他業態1店が撤退。つまり、松屋が14店舗減る中、松のやは23店舗増えたのである。
決算を見ると、2015年3月期の営業利益は前期比でマイナスだったが、2016年3月期はプラスに転じた。そのことからも、収益が上がらない松屋を閉めて、松のやに注力したところ、利益率アップにつながっていることが分かる。
つまり、牛丼御三家の一角を占める松屋フーズの成長エンジンは牛丼ではなく、とんかつとなっており、大きくシフトチェンジしようとしているのである。
日本の牛丼店の店舗数は、御三家で比較すると、2016年4月で「吉野家」が1188店、「すき家」が1970店、「松屋」が951店となっている。黒田東彦氏が日銀総裁になり、アベノミクスが本格始動した3年前の2013年4月には吉野家は1171店、すき家は1920店、松屋は996店だった。すき家が50店、吉野家が17店増えているのに対して、松屋は45店減っている。すき家は今も拡大路線にあるが、松屋はむしろ店舗を絞って利益を出す方向に転換したといえよう。
一方で、松のやは3年前に36店だったのが、今は86店となっていて、50店増えている。3年で倍以上に増えており、成長が著しい。今回は、なぜいま松屋フーズが“低価格とんかつ”業態に力を入れるのか解説する。
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