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» 2017年04月11日 08時00分 UPDATE

スピン経済の歩き方:ジャーナリストの執拗な質問に、なぜ大臣は“切れて”しまったのか (1/5)

フリージャーナリストの執拗な質問を受け、今村復興大臣の堪忍袋の緒が切れてしまった。ジャーナリストの追及に賞賛する声がある一方で、否定的な見方をする人も多い。筆者の窪田氏の意見は……。

[窪田順生,ITmedia]

スピン経済の歩き方:

 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

 「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。

 そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」に迫っていきたい。


 今村雅弘復興大臣の定例会見で、「ブチギレ途中退室」へ追い込んだフリージャーナリストの方に対して賛否両論の意見が出ている。

 肯定的な意見としては、このジャーナリストの方が執拗(しつよう)に食い下がったことで、自主避難は自己責任という本音を語らせたということや、そもそも権力を監視することが仕事なんだからいいじゃないかというものだ。

 一方、否定的な見方をされる方もかなり多い。以前から「脱原発」や日本の戦争責任を訴えていらっしゃるということから特定の政治信条に基づいて、確信犯的に大臣のイメージダウンを狙って挑発的な発言を繰り返したのではないかという声や、いくら権力の監視のためとはいえわざと怒らせるような取材方法は人としてどうなのさという声もあがっている。

 この件に関しては安倍政権や原発事故に対する認識によって受け止め方が大きく異なるので、いろんな意見が噴出するのも当然なのだが、筆者が生業としている「報道対策」という観点から考えると、このジャーナリストの方がどうのこうのという話ではなく、問題は今村大臣のスポークスパーソンとしての資質にある。

 当日の記者会見録をご覧になっていただいた方はよく分かると思うが、このフリージャーナリストの方は大臣に対して特に「無礼」なことは言っていない(参照リンク

 確かに、しつこいはしつこいが、自主避難者に対して国がなにかしないのかということを問い質しているだけだ。そこで防戦一方にまわる大臣に対して、「責任を持った回答をしてください」と詰め寄ったところ、「責任持ってやってるじゃないですか。何ていう君は無礼なことを言うんだ。ここは公式の場なんだよ」といきなりブチ切れてしまうという流れだ。

 この程度の追及は、ちょっと業績の悪い決算会見なら記者からバンバン社長に浴びせられる。もっと腹のたつことも言う。そういう低レベルな取材方法をするから「マスゴミ」って呼ばれるんだよとお怒りの方もいるかもしれないが、こういうスタイルが定着するのには構造的な理由がある。

記者会見で、今村大臣が失態を演じてしまった
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