マツダ、17年3月期営業益44%減 SUV拡充で巻き返しへ主要市場で苦戦

» 2017年04月28日 21時30分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 マツダが4月28日発表した2017年3月期の連結営業利益は、前期比44.6%減の1256億円だった。中国で販売が伸び、世界販売台数は過去最高となったものの、日本と北米の販売が伸び悩んだ。円高だったことも響いた。今期は新型スポーツタイプ多目的車(SUV)「CX-8」の投入などにより、増収増益を目指す。

photo 2月に日本で発売した新型「CX-5」

日本と米国で苦戦

 売上高は5.6%減の3兆2143億円、純利益は30.2%減の937億円だった。世界販売台数は1.6%増の155万9000台と過去最高を更新したが、日本と米国の販売台数減少や、為替が円高だった影響により、減収減益だった。

 北米の販売台数は2.1%減。新型「CX-9」などのクロスオーバー系車種は好調だったが、乗用車セグメントでは需要縮小と競合激化で苦戦した。好調なCX-9も、ハイグレードモデルは好調だが、エントリーグレードモデルの販売には課題が残った。

 日本市場の販売は12.8%減と大きく落ち込んだ。前半は新商品投入が少なく、商品改良モデルも不発だった。しかし、16年12月に新型「ロードスターRF」、17年2月に新型「CX-5」を投入し、販売は順調。回復基調にある。

 一方、中国は24.1%増と大幅に台数を伸ばし、過去最高の29万2000台となった。小型車減税政策の効果で「Mazda3」がけん引。新型「CX-4」も計画を上回るペースで売れている。

SUVの供給改善へ

photo 会見したマツダの小飼雅道社長

 今期は、売上高が前期比4.2%増の3兆3500億円、営業利益が19.3%増の1500億円、純利益が6.6%増の1000億円の見通し。新型CX-5のグローバル展開による販売拡大などを見込み、世界販売台数は2.6%増の160万台を見込む。国内主力工場でクロスオーバー系車種の生産能力を拡大し、世界的な需要拡大に対応する。

 また、新型クロスオーバーSUV「CX-8」を17年中に国内で発売する。3列シートのCX-8の投入によって、「ミニバンの生産を終了する」(小飼雅道社長)方針。3列シートが必要なファミリー層や、他のクロスオーバー系車種からの買い替え客の需要を想定する。小飼社長は「ミニバンに替わる新たな市場を創出したい」と意気込む。価格は300万円台前半からとなる見込み。

 前期苦戦した米国市場については、好調なSUVの供給改善で巻き返しを図る。「供給能力がネックだった。供給を正常にすることで販売を増やす」(小飼社長)。SUVは、競争が激しいセダン系に比べて収益性も高いため、収益増加につながることを期待している。

 中期目標では、19年3月期に世界販売台数165万台を掲げる。目標達成に向けて、「年5万台レベルの持続的な台数成長を目指す」(同)方針だ。

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