インタビュー
» 2017年05月10日 06時00分 UPDATE

自己投資産業で世界一になる:社長が語る「ライザップ経済圏」とは (1/3)

なぜいまライザップグループはアパレルに参入するのか。また、住関連領域から介護まで多角的な経営を推し進める裏にある競争優位性とは何か。瀬戸健社長に今後の展望と戦略を聞いた。

[長谷川リョー,ITmedia]

 プライベートジム「RIZAP」を運営するライザップグループ。売上高約600億円に及ぶ同社の成長を加速させているのが、「自己投資産業で世界一になる」という合言葉のもと推し進められている積極的なM&A戦略だ。グループを「美容・健康関連事業グループ」「アパレル関連事業グループ」「住関連ライフスタイル事業グループ」「エンターテインメント事業グループ」と4つのカテゴリーに分類し、子会社の数は実に44社にのぼる。

 とりわけ最近は東証1部のジーンズメイトを傘下に収めるなど、アパレル業界への参入に注力しようとしているのがうかがえる。健康食品からジムまで原価率の低い高粗利商品でビジネスのスケールを図ってきたライザップがなぜアパレルに参入するのか。また、さまざまな事業領域に参入し、多角的な経営を推し進める裏にある競争優位性とは何か。「『人は変われる』ということを証明したい」と語る瀬戸健社長に今後の展望と戦略を聞いた。

photo 「自己投資産業で世界一になる」という合言葉のもと積極的にM&Aを展開するライザップグループ

多角化でもブレない軸とは

――近年、ライザップグループの事業は多角化しつつあります。改めて、グループとしてのビジネスの全体像をお伺いしてもよろしいでしょうか。

瀬戸: 当社は「人は変われるを証明する」という明確な理念を持っており、自己肯定ができる商品やサービスに焦点を当てています。もともと豆乳クッキーの開発・販売から創業していますが、次に手掛けたのは「美顔器」でした。当時は「クッキーの会社がなんで美顔器?」と何度も聞かれたのですが、クッキーも美顔器もあくまで手段に過ぎません。ユーザーが求めているのは、あくまでも「綺麗になりたい」や「自信を持ちたい」という思いです。

 また、従来の「パーソナルトレーニング」が提供していたのは、「トレーニング」そのもの。われわれは「理想の体」と「自信」を提供しています。ゴルフや英会話の事業に関しても同じことが言えますし、それを提供できなければ(結果が出なければ)全額返金というのも共通しています。一面的には確かに「多角化している」とも言えるかとは思いますが、手段を通じて目的(自己肯定感)を提供する点では一貫しているのです。今まで自分を肯定できなかった人に対して、「人は自分を肯定しながら、変わっていける」ということを事業を通じ証明していきたいです。

――「自己肯定感」を提供できる事業にこだわる理由は何ですか?

 「マズローの欲求5段階説」を元に、もう少し説明させてください。戦後の日本を考えてみると、この説でいう「生理的欲求」「安全欲求」に当たる「食べられるだけで幸せ」という時代があったかもしれません。つまり、生きることに精一杯で、人から自分がどう見られるかは二の次だったわけです。

 時代が高度経済成長に入っていくにつれて、「安全欲求」から「社会的欲求」、そして「尊厳欲求」「自己実現欲求」へと求めるものが変わりました。自分がなりたい姿、自分が生きる意味といったことを考える余裕が出てきたからです。その余裕はやがて悩みとなり、人と違うこと(個性を持つこと)自体が目的化していくのです。

 着る服一つとってみても、昔は丈夫で長持ちすること、着るという機能が服の目的でした。それが当たり前になると、今度は服に自分の価値を高めたり、自分を肯定させてくれるモノを求めるようになってくる。だから皆さん、服を買い替えるようになるわけですよね。服に限らず、バッグや時計、もしかしたら携帯電話でさえもそうした目的で買われるようになりつつあるのはないでしょうか。こうした手段を通じて、人は死ぬまで自己肯定感を追求する時代に入っていると思うんです。

 だからこそ、われわれは一切”必需品”を扱いません。自分に自信が持てて、自己肯定ができる商品やサービスを追求します。例えば、2017年に買収したジーンズメイト。近年低迷していた理由は、ユーザーが求めている価値を提供することができていなかったからだと思います。服というリアルなモノでも、あくまで無形の価値(自己肯定感)を提供する必要があるということです。

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