「買えない」が最強の広告? ボンボンドロップシールとたまごっちに共通する、熱狂を生むUXグッドパッチとUXの話をしようか(1/3 ページ)

» 2026年02月24日 07時30分 公開

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連載:グッドパッチとUXの話をしようか

「あの商品はどうして人気?」「あのブームはなぜ起きた?」その裏側にはユーザーの心を掴む仕掛けがある──。この連載では、アプリやサービスのユーザー体験(UX)を考える専門家、グッドパッチのUXデザイナーが今話題のサービスやプロダクトをUXの視点で解説。マーケティングにも生きる、UXの心得をお届けします。

 店頭から商品が消え、SNSには「売り切れだった」「抽選に外れた」という投稿が並ぶ。需要に供給が追いつかず、本来であれば得られるはずの売上機会を逃してしまう「買えない状態」は、通常であれば企業にとって失敗と見なされがちです。

 ところが昨今、その「買えない状態」そのものが話題となり、ブームをさらに加速させる現象が繰り返し見られます。その代表例が、ボンボンドロップシールです。

ボンボンドロップシール(画像:クーリア提供)

 日本経済新聞でも報じられたように、子どもだけでなく大人もボンボンドロップシールを求めて販売店に詰めかけ、休売が続くほどの売れ行きを見せています。フリマアプリでは定価の数倍で転売されるだけでなく、品薄ゆえに自作する人や模倣品まで登場するなど、社会現象ともいえる広がりを見せています。

 一見すると、ただの“かわいいシール”に見えるこの商品が、なぜここまでの熱狂を生んだのでしょうか。その背景をUXの視点で読み解くと、平成に大ヒットしたたまごっちと驚くほど似た構造が浮かび上がってきます。

かつて「買えない体験」が社会現象になった”たまごっち”

 1990年代後半に社会現象となった携帯型電子玩具であるたまごっち。当時「欲しくても買えない」ことで知られていました。店頭からは瞬く間に姿を消し、「行列」「抽選販売」「プレミア価格」といった言葉が連日のように報じられていました。

1990年代後半に社会現象となった「たまごっち」(画像:たまごっち公式Webサイトより)

 もっとも、これは販売元が意図的に希少性を演出していたわけではありません。女子高生を起点にした口コミから需要が急増し、生産計画が追いつかなかった結果として、偶発的に“買えない状態”が生まれただけでした。

 しかし重要なのは、その状態が単なる不便で終わらなかった点です。

 この商品を「持っていること」そのものが会話のきっかけになり、学校や街中でのコミュニケーションを生みました。育て方を共有し、失敗談を語り合い、持っていない人はその輪に入りにくくなるといった現象が起きました。プロダクトはいつの間にか、単なる玩具から「コミュニティ参加のチケット」へと意味を変えていったのです。

 これは企業や開発者が設計した体験ではありません。使う側が、自分たちの生活文脈の中でプロダクトを“再発明”した結果だと言えるでしょう。

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