アイス市場が熱くて溶けてしまうかもしれない――。このように感じるほど、業界が盛り上がっていることをご存じだろうか。日本アイスクリーム協会によると、2015年の販売金額は4647億円。10年ほど前から、右肩上がりで伸び続けているのだ。
「ふむふむ、分かる分かる。オレは『ガリガリ君』をよく食べるからなあ」「いやいや、ワタシは『ピノ』が大好き」といった声が聞こえてきそうである。スーパーやコンビニの冷蔵ケースの中をみると、定番商品がズラリと並んでいる中で、必ずと言っていいほど目にするモノがある。「明治 エッセルスーパーカップ」(130円、税別)だ。
1994年に発売したところ、翌年にはカップアイス市場でトップの座に(ハーゲンダッツを除く)。ライバルがひしめき合う中で、なぜエッセルスーパーカップは消費者に支持されたのか。最大の理由はボリュームである。
当時、カップアイスの主流は、150mlで100円。そうした常識を打ち破るために、明治は「200mlで100円」という価格設定で勝負したところ、「アイスをたくさん食べたい」という若年層の胃袋をつかんだ。その後も好調に推移し、全ジャンルの中で「エッセルスーパーカップ」(約220億円)が売り上げトップに。2位「ガリガリ君」(約145億円)を大きく引き離しているのだ(アイスクリームプレス調べ)。
このように書くと「他の商品のようにいろんな手を打ってきたのだろうなあ」と思われたかもしれない。例えば、奇をてらったフレーバーを展開したり、SNS上でいろいろ仕掛けたり。しかし、エッセルスーパーカップは違う。過去のフレーバーをみると、「クッキーバニラ」「チョコミント」など、他の商品でもあるようなモノばかり。SNSにいたっては、TwitterやFacebookで公式サイトを運営していない。
それでも、1位である。なぜか。その秘密を探るために、同社でマーケティングを担当している松野友彦さんに話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。
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