JR東、次世代新幹線の試験車「E956 ALFA-X」開発へ19年完成

» 2017年07月04日 15時40分 公開
[ITmedia]

 JR東日本は7月4日、次世代新幹線の開発に向けた試験車「E956」を2019年春の完成を目指して新造すると発表した。10両編成で、営業運転時の最高速度は時速360キロ程度を予定している。

photo ALFA-Xの外装のイメージ=ニュースリリースより

 試験車両の愛称は“最先端の実験を行うための先進的な試験室”を意味する「ALFA-X」で、次世代新幹線の実用化に向けた開発プラットフォームとして活用。(1)安全性・安定性、(2)快適性、(3)環境性、(4)メンテナンス性――の強化がコンセプトだ。

photo 研究開発のコンセプト

 高い安全性・安定性を実現するため、地震や悪天候など自然災害への対応力を改善。地震動を受けた際に強い減衰力を発揮し、車両の揺れを抑える「地震対策ダンパ」や、地震発生時に車輪とレール間の衝撃を緩和する「クラッシャブルストッパ」などの新たな部品を採用し、車体の安全性を向上する。

photo 新たに使用する部品

 快適性を高めるため、車体の揺れを抑える「動揺防止制御装置」「上下制振装置」などを搭載。「家やオフィスのように快適な車内空間を目指す」としている。

photo 快適性を高める装置について

 環境性能の向上に当たっては、トンネル突入時の圧力波を抑制する形状の先頭車両や、空力騒音を低減する新型パンタグラフを開発。より騒音を抑えた“省エネ運転”の推進に取り組むという。

photo 車両下部やパンタグラフなどの低騒音化を実現する仕組み

 メンテナンス性を向上するため、IoT(モノのインターネット)の技術を活用し、地上設備や車両の各機器をモニタリングする仕組みを導入する。外部のサーバに車両の状態に関するデータを集約し、メンテナンス基地が故障の予兆を把握。本部社員や現地社員に指示を出し、速やかに修理することで、故障を未然に防ぐ仕組みだ。

photo データ管理・情報伝達の仕組み

 このほか、AI(人工知能)などのテクノロジーも活用し、車両内の情報・制御ネットワークを強化するとしている。

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