「ドミノ・ピザ」が再び急成長しているワケ長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/3 ページ)

» 2017年09月26日 06時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

 「ドミノ・ピザ」を展開するドミノ・ピザ ジャパンの業績が好調だ。2016年6月期の年商は334億円となっており、3年間で約1.5倍も伸びている。店舗数も11年に200店だったのが今年は500店(9月時点)と、6年間で約2.5倍に増加した。85年の創業時以来、再び急成長しているのだ。

 宅配ピザ業界では、フォーシーズが展開する「ピザーラ」(553店、16年6月末時点)に次ぐ2位の座にあるが、逆転して首位に立つ勢いだ。

 ピザといえば、11年よりワンコインピザの「ナポリス」を運営していた遠藤商事が今年4月に倒産したことが話題になった。

 ドミノ・ピザの約5分の1の価格に設定したナポリスは、消費者から拍手喝采を浴び、ピザ市場のシェアを大きく伸ばしていくと思われた。しかし、結果はナポリスの方が敗れ去り、平均で2000円以上もする割高なドミノ・ピザが躍進している。なぜだろうか。

photo 反響が大きかったドミノ・ピザの期間限定商品「クワトロ・乙女のマヨネーズ」

 ドミノ・ピザ ジャパンの執行役員、富永朋信氏は「そもそも、ワンコインピザとドミノ・ピザでは利用の動機が異なる。ビジネスの土俵が違う」と語る。

 ドミノ・ピザは、家庭内のちょっとしたハレの日、“プチハレの日”のディナーで注文されるケースが多い。

 例えば、サッカー日本代表の試合を家族とテレビ観戦するときや、お母さんがなるべく手間暇をかけずに日曜日のごちそうを出したいときなどだ。ホームパーティーや会社の打ち上げ会などにも使われる。日本人はピザという食品に、非日常的なワクワク感を期待しているのだ。

 宅配ピザはお正月のおせちのような本格的なハレの日の食事でもなく、コンビニ飯のような気軽な日常食でもない、その中間のプチハレの日に強固な基盤を築いている。

 つまり、ナポリスは宅配ピザが創出した日本人の持つピザの華のあるイメージを変えられず、日常食にできずに惨敗したのだ。

 では、ドミノ・ピザは、その強固な基盤に加えて、どのような改革で成長軌道に乗ったのだろうか。

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