なぜ「ブッキング・ドットコム」の売り上げが伸びているのか、秘密を聞いてきた水曜インタビュー劇場(オランダ公演)(1/6 ページ)

» 2017年10月11日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 Webサイトを見ていて、リンクをクリックするたびに新しいタブが開く。逆に、クリックしても新しいタブは開かない。たくさん開いていると「気持ち悪いなあ」という人もいれば、開かないと「使いにくいなあ」という人もいる。さて、どちらのほうが人は“心地よく”感じるのだろうか。

 新しいタブが開く、開かない――。この2パターンを用意して、どちらがより高い成果を出しているのか。いわゆる「ABテスト」を繰り返すことで、売り上げを伸ばしてきた会社がある。オンライン宿泊サイトを運営するBooking.com(ブッキング・ドットコム)だ。

 「ブッキング・ドットコム? 使ったことがないなあ」という人もいると思うので、簡単にご紹介しよう。同社は1996年にオランダのアムステルダムで創業し、現在は米Priceline(プライスライン)グループのメンバーに。ECサイト上での売上総利益を見ると、アマゾン、アリババに次いで、プライスラインは世界3位である(2016年度は1兆1300億円、1ドル:110円換算)。

ブッキング・ドットコムの本社はオランダのアムステルダムにある

 グループ売り上げの約9割を占めるブッキング・ドットコムを利用している人はどのくらいいるのだろうか。毎日140万泊の予約が入っていて、ユーザーレビュー(クチコミ)は1億1500件を超えている。現在220以上の国と地域で150万軒以上(2500万室)の宿泊施設で予約することができ、サポートしている言語は43カ国語。「日本語しかしゃべれないので、海外はちょっと苦手」という人でも、気軽にホテルを予約することができる。使い勝手の良さもあって、日本国内での業績も順調に推移。2012年から4年間で8倍以上も売り上げが伸びているのだ。

ECサイト上の売上総利益をみると、プライスライングループは世界第3位

 自社サイトを通じて宿泊施設を予約してもらう。そうすることで、ブッキング・ドットコムの売り上げは伸びていくわけだが、その予約成約率をアップさせるために、同社は毎日1000件ほどのABテストを行っているのだ。冒頭でご紹介した「タブを開くほうがいいのか。それとも開かないほうがいいのか」もテストしたわけだが、成約率が高かったのはどちらだったのか。また、このほかにどのようなABテストを行って、サイトを改善してきたのか。ブッキング・ドットコムで同事業を担当しているエイドリアン・エンギストさんに話を聞いた。

検索結果をクリックしたときに、新しいタブを開けるほうがいいのか、開けないほうがいいのか

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