神戸製鋼問題で世界が問題視する「日本企業文化」世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)

» 2017年10月19日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

 今、大手鉄鋼メーカーの神戸製鋼所のデータ改ざん問題が大変な騒動になっている。

 多くのメディアが報じている通り、神戸製鋼はアルミ製品や銅製品の一部で強度などのデータを改ざんした。自動車、航空機、原子力発電所、防衛装備品、H2Aロケットなどで同社製品が使われているので、その影響は拡大していきそうだ。リコールや損害賠償となれば、さらに混乱が広がることになる。

 この問題は世界中のメディアでも大きく取り上げられ、多くが日本製品のクオリティーについて言及している。海外の報道を見ていると、今回のデータ改ざんが世界的な日本のイメージに対して、かなり大きなダメージを与えているのが分かる。さらに言うと、もしかしたら「メイド・イン・ジャパン」という高品質を売りにしたポジティブなイメージが、もはや「終わりの始まり」になっているのかもしれないとすら感じる。

 海外での報じられ方を眺めていると、筆者もこのスキャンダルは日本企業の対外的なイメージを失墜させる象徴的なケースになるのではないかと思う。そんな理由から世界の主要なメディアがこのニュースをどう報じたのか見ていきたい。

 まずカタールのアルジャジーラだ。番組では、司会者が「神戸製鉄が製品の強度についてデータを改ざんしていた。ジェネラル・モーターズ、ボーイング、トヨタ、ホンダなどこれら企業がサプライチェーンを見直す必要が出てきた」と、このニュースを大々的に報じている。日本の新幹線にも神戸製鉄の製品が使われていて、「その規模は過去10年間で200企業に広がる」とし「さらに規模は広がる可能性がある」と伝えている。事実、日本メディアはすでにその数は500社とも報じている。

 その上で、アルジャジーラは、神戸製鉄のスキャンダルが珍しくないとし、エアバッグのタカタが「史上最大規模のリコール」となって経営破たんし、日産自動車も最近、資格がない従業員が完成車検査していたとして116万台のリコールを発表したと報じている。そして「こうしたスキャンダルが、品質の高さで知られる日本の製造業への打撃となる。その品質の高さを理由に、中国などと比べて割高の値段をつけていたのだから」とまとめている。

 「日本企業はなぜ手抜きするのか」という番組司会者の質問に対し、シンガポールから番組にコメントした欧米人専門家は、日本企業の「年功序列型賃金体系」という企業文化によって、職員は長く会社に勤めたいがために問題に目をそらす傾向があるとする。また景気低迷のコストカットもそこに影響を与えている可能性を指摘する。

海外メディアは神戸製鋼の改ざん問題をどのように報じたのか(写真と本文は関係ありません)
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