“霧でも安心”三菱電機「EMIRAI4」に試乗してみたクラウドともつながる

» 2017年10月28日 06時30分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

 三菱電機は「東京モーターショー2017」に、コンセプトカー「EMIRAI4(イーミライフォー)」を出展した。電動での自動運転に対応するほか、濃霧などの視界不良時に正しいルートをAR(拡張現実)表示するHUD(ヘッドアップディスプレイ)など3種のディスプレイを搭載し、ドライバーをサポートする点が特徴だ。(関連記事

photo 三菱電機のコンセプトカー「EMIRAI4」
photo コックピットの内部

 コネクテッドカー(つながるクルマ)としての側面も持ち、ドライバーに関するデータを集積したクラウドに接続することで、1日の予定や好きな料理などの個人情報を取得できる。ニーズに応じたレストランなどをディスプレイに表示し、自動で予約することも可能だ。

 最新技術が詰まったEMIRAI4の乗り心地を知るため、三菱電機のブースでバーチャル試乗を体験した。

photo 後ろから見た「EMIRAI4」

バーチャル試乗を体験

 初めに体験したのは、ライティング技術を活用した自動開錠だ。EMIRAI4に近づくと、車体付近のフロアに南京錠のマークが映し出された。ドライバー役を務める担当者の「南京錠を踏んでください」との指示に従うとドアのロックが解除され、ドアが自動で開く仕組みになっていた。

photo 南京錠のマーク

 このほか、「ドアの開閉中」「自動運転中」「手動運転中」などを意味する光のメッセージを車体や路上に投影し、他車や歩行者に状況を伝達することも可能という。

 車内に乗り込むと、中央に設置したカメラがドライバーと記者の体調を素早くセンシング。体調は「Good」、感情は「Happy」などの結果がメーター表示部の「クロッシングディスプレイ」に表示された。

 ドライバーの体調に問題がなく顔と体が正面を向いていたため、「運転が可能」と判断。自動運転から手動運転に切り替わった。

photo センシングする様子

 手動運転が始まると、周辺の地図などがクロッシングディスプレイに表示された。「クロッシング」とは、よりリアルな奥行き感を出すために2種類の液晶パネルを組み合わせていることを指す。「後方注意」などのアラートや電子サイドミラーの画像を地図に重ねて表示し、手動運転の安全性をさらに高めることも可能だ。

photo クロッシングディスプレイに表示された地図

 クラウドに接続することでドライバーの予定が分かるため、行き先は横浜市内の公園に自動で設定。ドライブを続けていると、シート間に設置した「Knob-on-display(ノブオンディスプレイ)」から「ランチはいかがですか?」との音声が発せられ、目的地付近のおすすめ店舗が自動でリストアップされた。

photo Knob-on-displayの全体像

 Knob-on-displayの画面はノブ状のコントローラーで操作できるため、手元を見なくても店舗の一覧や地図などを簡単にスクロールできた。

 リストに並んでいたのは、ドライバーの好物のラーメン店。気に入った店舗を選択すると店舗側の予約システムと通信し、自動で2人分を予約した。

photo Knob-on-displayに並んだ店舗リスト

 ドライブを続け、濃霧が立ち込めるエリアにさしかかると、フロントガラス下部のHUDに正しい車線と進行方向を示す緑と赤の光がAR表示された。速度や右左折までの距離も合わせて表示されたため、ルートを見失わずに安全なドライブが楽しめた。

photo 濃霧時にルートをAR表示する様子

あくまでカメラやディスプレイの展開が目的

 広報担当者は、EMIRAI4の開発目的について「あくまで車載のセンシング用カメラやディスプレイなどを自動車メーカー向けに展開するため」と説明。「コンセプトカー自体を製品化する予定はない」という。

 「当社は車を売ることはできないが、電機メーカーならではの技術力を生かして自動運転の発展に貢献したい」(同)と話している。

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